さわわん―その4―
【ルイス・フロイス。】
さわわんの取ってつけたような郷土愛を連想させる佐和山へのを思いをイメージした着ぐるみに、仕事とは言え。割り切ることの出来ていない中身(渡辺勘兵衛)の挙動不審具合。それらも含め愛されるぬるさがなんとも言えない『わび』『さび』の日本人の心を表現されている。
この『さわわん』の陰に隠されているが、横に立っている島左近は石田家の宿老。そんな彼が何故罪人でも無いにも関わらず人前に晒されなければならないのか?最終的には『さわわん』の暴走を食い止める役目として。しかも素顔で。時代は確実に亡き太閤秀吉から新たな権力者のもとへ移行を始めている……。これも偏に風の前の塵に同じなのであろうか……。
とルイス・フロイスが彼らのことを著書『日本史』の中で紹介。これを読んだイエズス会総長クラウディオ・アクアヴィーヴァがリツイート。アクアヴィーヴァをフォローしていたスペイン王フェリペ2世始めトスカーナ大公フランチェスコ1世デ・メディチ。更にはローマ教皇グレゴリウス13世に、その後を継いだシクストュス5世などに拡散。ヨーロッパ・キリスト世界中に『さわわん』は広まっていくのでありました。
そんなヨーロッパの情報を持って帰ってきたのが天正遣欧少年使節の一行。
『日本では今。これが流行っているんだよね。』
と無邪気に『さわわん』を再現する使節の最年少。原マルティノの姿に当初。大きなクエスチョンマークで迎えた日本側(これが元で帰国後彼らは警戒され、海外へ追放される運命となるの)でありましたが、たまたま東山道筋を行き来している尾張の麻織物業者が
『もしかして原がやっているあれって……佐和山で三成の重臣たちが演じている奇怪な寸劇のことか?』
と言うことに気付き、逆輸入の形で『さわわん』はブレイク。佐和山領内はもとより、日本全国からオファーが殺到。イエズス会の誘いから海外公演も検討されたが、亡き太閤殿下の負の遺産とも言うべき朝鮮半島と中国大陸との関係が未だ修復されていないため断念。それでも海外での評価に対し弱い日本人のこと。彼らを求めるものは後を絶たず、あの富山の薬売り以外無傷で帰ることが出来ないと言われている。しかも現在、主家と家老が大喧嘩の真っ最中の薩摩での公演も成功させるなど『さわわん』と島左近は、主君・挙(三成)の想定を超える収入の柱へと成長を遂げるのでありました。
その頃、挙(三成)は……。
(……最近あいつら見掛けないな……。)
(……まぁいくさが無ければ……であるし……。)
(……冬の武田信玄や上杉謙信みたいに……。)
(他国で迷惑を掛けているわけでも無いのであるから……。)
(しばらく彼らの思うままにやらせてみようか……。)
(でも……。)
(……ほかにも居るんだよな……。)
(……いくさが無いと用がないのが……。)
と目を付けたのが。
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