史実モード
齢39にして共に出世コースから外されることになった
石田三成と石田三成に転生した宇立挙。
この共通点を持つ両者の中で珍しく
宇立にあって三成には無い能力が1つ備わっている。
それは……
挙(三成):「……このまま進むとオレ。」
「……六条河原で首を斬られることになるんだよな……。」
石田三成は主君・太閤秀吉亡きあと。
秀吉が遺した命令に背き、我が物顔で勢力を増長させる徳川家康と対立。
当初は五大老No.2の前田利家の協力もあり、
家康の暴走に一定の歯止めを掛けることが出来たのではありましたが……。
その利家が亡くなるや否やその均衡は崩れ。
朝鮮出兵の頃より折り合いが付かなくなっていた
福島ら7名の武将に狙われることになった石田三成。
彼ら7名が実質的な上司と位置付けていた。
三成にとっては政敵と言っても良い徳川家康の居る伏見に逃げ込む
と言う奇策で持って危機を回避することには成功したのでありましたが……。
主君・秀頼は未だ幼君。
豊臣家の実質的トップは家康。
と言うことは……。
その後の裁判を主導することになるのも徳川家康。
結果、三成は直轄領の代官職を追われ、
領国佐和山で蟄居の身と相成るのでありました。
その後、石田三成は秀頼(家康)の命令に従わない上杉景勝を征伐するべく
京を離れた家康の間隙を突き、西日本の大名をまとめ挙兵するも武運拙く敗れ、
六条河原で敢え無い最期を遂げることになるのでありました。
挙(三成):「出世コースから外れた学卒のエリートが自暴自棄になって起こした叛乱……。」
「……と受け取ることも出来るが……。その後。」
「三成を排斥してしまえば。で行動した福島が待っていた運命……。」
「三成同様。大事に思っていた亡き秀吉が忘れ形見。
秀頼を福島は見殺しにしなければならなかったこと……。」
「それでも忠節を誓った徳川から最後。
福島はどのような仕打ちを受けることになったのか。を見れば。」
「……三成が行ったことが、実は正しかったことが証明されることになった……。」
「……秀頼が蔑ろにされる姿を傍観することに耐えることが出来なかった。」
「……見え過ぎてしまっていたことが、三成を不幸にしてしまったのかも……。」
「……でも秀頼が蹂躙されるのを。ただ眺めるだけになってしまうのならば……。」
「……勝負に出て、敗れればそこで自らの命を終わりにすればよい。
そうすれば……秀頼の最期を見なくて済むのだから……。
だったのかもしれないのかな……。」
挙(三成):「……しかし……私は、そうはなりたくない。」
「だってオレ(挙)……。」
「豊臣家で良い思いしてませんし……。」
「これが本能寺後の領土拡大の時期からだったら。」
「実入りどんどん増えていくわけだからさ……。」
「このヒト(秀吉、秀頼)に付いていこうとなるかもしれませんし。」
「福島らと対立する原因となった朝鮮の辺りからだったら。」
「その後のことも踏まえつつ、上手に秀吉をやるこめることによって。」
「無用な対立を避けることも出来たであろうし。」
「もっと言うなら」
「次の時代を見据え。家康とのパイプを太くする立ち居振る舞いもしてたんだけれども……。」
「39歳の三成で楽しいことって……1つも無い……。」
「自暴自棄になるか塞ぎこむしかない……。」
「21世紀の日本みたいに」
「内部告発しようにも。」
「当時は、たれこむ先のマスコミがあるわけでも無し。」
「唯一出来るところと言ったら……。」
「……徳川家康しか無い。」
「告発したい相手が……。」
「その徳川家康であるわけだからさ……。」
「……やったところで。で、ありましょう……。」
挙(三成):「……それに。」
「……20万石もあるんだぜ。」
「……充分だろう……。」
「しかもアイツ……。」
「つい最近まで豊臣直轄地100万石の代官だったんだろ……。」
「三権の全てが一手にまとまっている世の中の。権力を握る立場であったのだから……。」
「……当然。不正な蓄財をしているであろう……。」
左近:「……殿。先程から何ブツクサ言っているのでありまするか?」
挙(三成):「左近!!」
左近:「ハッ!!」
挙(三成):「蔵まで案内せい!!!」
左近:「……殿。……蔵を。で御座いますか?」
挙(三成):「そうじゃ。案内せい!!!」
左近:(その日の在庫状況を仕事が終わったその日の内に報告するように言っていた殿が
……何故急に……。)
と佐和山城の蔵まで案内させた挙(三成)。
挙(三成):(……どれだけの貴重な財宝が眠っているのだろう……。)
と胸膨らませ、蔵の錠前を開けた挙(三成)。
そんな彼の目に飛び込んで来た蔵の中身は?
と言いますと
兵糧と弾薬など
「いざ!!」
と言う時に必要となる物資のみ……。
そればかりか蔵へ向かう途中の城の壁の全てがあら壁など
必要最低限機能を有することが出来れば良い。
と言った質素なものばかり……。
挙(三成):(……彼(三成)は、本当に豊臣のためだけに生きた人なんだな……。)
(……だからと言って……。)
(……三成と同じ運命は辿りたくは無い……。)
挙(三成):「左近!!」
左近:「ハッ!!」
挙(三成):「この空いたスペースに……ジャガイモ容れても良い……?」
左近:「……ジャガイモでございますか……?」
挙(三成):(なぜかこいつらも付いて来ちゃったんだよ……14トンも……。)
「一時、仮置きでも良いんで……。」
左近:「……殿がそのように仰られるのでありましたら……。」
挙(三成):(特に何に使うわけでもないし、何かの伏線にするつもりもないけれども)
「取り敢えずお願い。」
と当面の重荷の1つ(ジャガイモ)を
自分の目に付かないところに押し込むことに成功した挙(三成)。
ここから彼は史実モードから外れる術を模索するのでありました。
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