ジャングルのフレンズ奮戦す

@3689

ジャングルのフレンズ達

巨大セルリアンを前にしたボスの目が七色に光った。パークの危機を告げる通信はパークのすべてのラッキービーストに伝わり、その通信を聞いたフレンズ達は博士と助手のもと、続々と集結していった。 


遠く離れたジャングル地方にもSOS は届いた。ジャングルのフレンズ達も駆けつける気は満々である。しかし、問題があった。

遠いのだ。巨大セルリアンのいる場所まではかなりの距離がある。間に合うだろうか? 

集まったフレンズ達を代表してフォッサが口を開いた。

「鳥のフレンズに協力してもらうしかないけど、今ここにいるのはクジャクだけかな? そうなると夜明け前に着けるのは一人か精々二人だろうね。」

「私、頑張ります!」

張り切ったクジャクはやる気を示すため、たまたまそばにいたインドゾウに抱きついたが重くて持ち上がらない。

「それは無理だろう…。」

回りから突っ込みが入る。

「ちょっと、うるさくて眠れないんですけど~」

現れたのは高山から降りてきていたショウジョウトキである。事態が飲み込めていないようだ。パークの一大事にショウジョウトキも参加することに。鳥のフレンズを探す時間はもうない。我こそはと名乗りを挙げたフレンズを送るしか手立てはない。

勇ましいタスマニアデビルと推薦されたオセロットがその任につくこととなった。

 

二人を見送った残りのフレンズ達は不穏な空気を感じていた。何かこのジャングルにも異変が起きたのだろうか?

「あっ! あそこ!」 オカピが叫んだ。

自分達よりひと回り大きい青いセルリアンがバキバキと木々をなぎ倒して現れたのである。

サンドスター・ローの影響は巨大セルリアンだけでなく各地に点在するセルリアンにも及び、動きを活性化させていたのだ。

意表を突かれたフレンズ達はパニックになった。キングコブラが声を上げた。

「みんな落ち着いて! 一致団結してフレンズの力を見せてやろうよ!」

「うぅ…わかったよ… こ、来ないでよ~‼」

両手を広げてミナミコアリクイがセルリアンの前に立ち塞がった。

「わっ、うわ~っ!」

エリマキトカゲが精一杯エリマキを拡げ威嚇する。二人の連携でほんの一瞬動きを止めたセルリアンだったが活発な勢いは衰えない。

注意がそちらに向いている隙に他のフレンズはセルリアンの後ろに回り込んでいた。

「塩で培ったパワーを見せてやるよ!」

アクシズジカが立派な角でセルリアンの背後から頭突きを見舞う。

白黒の体色で目立たぬマレーバクは気付かれずにそっと近付いており、「えいやっ!」と加勢する。

怯んだところにキングコブラの鞭のような尻尾が振り下ろされ、見事に石を割った。

パッカ~~ン!

セルリアンが砕け散る。

歓喜の雄叫びをあげる一同。

だがまだ終わってはいなかった。

もうひと回り大きなセルリアンが現れたのだ。

そのセルリアンの前にすっくとインドゾウが立った。

「私のダンスをご覧になって~!」

優雅にひと舞いすると華麗にジャンプ!

ドドーンと大地が揺れる。

セルリアンがバランスを崩し、動きが鈍くなる。その時、フォッサの一撃がセルリアンにヒットした。

「さぁ、みんなでとどめを! 野生解放だよ~‼」

セルリアンを取り囲んだフレンズ達は各々が持てる力をぶつける。

先ほどよりはかなり大きい“パッカ~~~ン”がジャングルに響き渡った。

「やった~!」「すごーい‼」

フレンズ達の歓声がこだまする。 


そのころ、巨大セルリアンの元に向かっていたオセロット達は上空から赤いセルリアンを発見していた。

「ありゃ~! 大変だよ。このまま見過ごすわけにはいかないや。クジャク、ショウジョウトキ、予定変更! 私らを下に降ろしてよ。」

「タスマニアデビルだぞ~!」

オセロットとタスマニアデビルも野生解放によって見事セルリアンを倒したのだった。


お隣のサバンナ地方でもまた、シマウマやトムソンガゼル達の活躍でセルリアンの脅威は消え去っていた。砂漠でも平原でも、水辺でも雪山でも、残ったフレンズ達は勇敢に戦いセルリアンを撃退していた。

巨大セルリアンが海に沈んで溶岩と化したのと時を同じくして、パーク全体に平和が訪れたのである。 


セルリアンを根絶できたわけではない。たが四神によってサンドスター・ローは押さえられている。当面の危機は回避できた。

フレンズ達はお互い他の地方で繰り広げられた出来事は知らないままだろう。それでいいのだ。いさましいフレンズはいても、そのことを自慢げに触れ回るやかましいフレンズはいないのだから…。

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