第28話『星々の集いし所』
「もうだめだ! こうなったら過去に戻りあの男を殺すしかない!」
SF作家、エヌ氏は完全に追い詰められていた。
アイデアが勝負のショートショートを専門に書いている彼は、昨今ネタの枯渇に悩んでいた。なにかの足しになれば、と、レジェンドの全集をひも解いて見たところ、エヌ氏が持ちネタとして使っていた数々のアイデアはすべてレジェンドがすでに開拓しており、さらにエヌ氏よりもはるかに洗練した小説に仕上げていることが分かってしまった。人が想像できるネタはすべてレジェンドが書ききってしまっているかのようだ。
ここで冒頭に戻る。エヌ氏とてSF作家の端くれ、資料用に買ったタイムマシンぐらいは経費で落とせるのだ。まさか神と崇める作家を殺めるために使うとは思わなかったが…。
「よし、タイムワープ!」
視界がゆがみ、昭和の時代が現れる。レジェンドの自宅に降り立つと、目の前には原稿用紙に向かう無数の作家達がいた。
「新人の方はこちらの原稿用紙をどうぞ」との立て札もある。
ここは星スタジオ。あまたの時代のSF作家たちが彼の命を狙いやってきては、星新一として新作を書かされつづけるタコ部屋である。
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