第15話『タイト・タイム・ロープ』

禍福は糾える縄の如し。

幸福と不幸はより合わせた縄のように交互にやってくる。

これ即ち時の流れに同じ。

人が幸せと感じる時間と、不幸と感じる時間によって、その者の時間(とき)は刻まれていく。

まるで時計の振子のような幸と不幸のピーク。それが人生。人の感じる時間の不変の法則。

「てなことを昔は考えてたらしいのよね、人類ってやつは」と言いつつ難解な時公式を書いていく白衣の少女。

「実はこれ、人間だけの話ではなくって、宇宙の法則だったってわけよ。宇宙ひもってあるでしょ、あれをよってみたらさ、宇宙サマ主観時間を顕せちゃったわけ。そして」と言って目の前に浮かぶ縄を示す。

「未来技術製の宇宙縄極小モデルがこちら! 紐を手繰ることで未来にも過去にも行けちゃいマス。ただし、時間移動は裸じゃないとだめなんだって。なぜかは未来人に聞いてよ。ターミネーターがどうだとか言ってたけど理由は知らないわ。だからアタシじゃ無理なの。アンタの裸なんて見たくないから隣の部屋にいるけど、戻ったら教えて。あ、間違っても同じ時間に戻ってくるんじゃないわよ。裸の大勢の自分が一本のロープで大渋滞なんて嫌でしょ?」

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