EPISODE15『突然の決定!?』

特訓などを終えてリビングに戻ってきた瀬麗那達は、疲れを癒すためにソファーでのんびりくつろいでいた。


「突然だけど2泊3日の旅行に行こう!」


「「「え?」」」


「心春、どういう事だ?いきなり〝旅行に行こう〟だなんてさ」


「言葉の通りだよ?四人の親睦を深めるために四人で奥桜ヶ丘町にある温泉に行って楽しむんだよ!」


そして心春は一言付け足す。


「あっ!ちなみに、この旅行〝全・員・参・加〟だからねっ!」


「え、俺の意見は!?」


「無いよ?」


「親にも聞いとかないとだし…」


「さっき優斗のお母さんに聞いたら〝光君や心春ちゃんが一緒なら安心ね~〟って言ってたから大丈夫だよ?」


「え?親の了承済みなのか!?」


「うん。そうだよ?」


「いつのまに!?」


「まぁ心春の強制は今に始まったことじゃないだろ?」


「それは、そうだけどさ…」


「昔からなんだね…」


「それで、温泉以外に何かしようかな~って思っているんだけど…なにか思い付くものない?」


「じゃあ山登りはどうだ?数年前に行ったときに、近くに山登りができる場所があっただろ」


「(山登りか~懐かしいなぁ。確か、小さい頃に一度行ったけど途中で雨が降ってきたから急いで降りてきたんだっけ…)」


「あ~言われてみれば確かにあったような…」


「優斗も一緒に行った事あるの?」


「あるよ。そういえば、あの時は登っている途中で雨が降ってきて仕方なく下山したんだっけかな?」


「へぇ~そんなことがあったんだ…」


「まぁそんなわけで山登りは決定!」


「あっ!瀬麗那さんは他に何かしたいこととかない?」


「う~ん…卓球なんかどう?」


「定番だなっ!俺はいいと思うぞ?」


「それいいね!俺も賛成だよ!」


「私も賛成っ!」


まぁ四人で色々話し合って、いくつかやることは決まった。そして、時計を見ると22時を過ぎようとしていた。


「なんか私眠くなってきたから…他の事は明日の移動中に決めない?」


「別にいいけど。何で今、いくつかやることを決めたんだ!?」


「何となく。今日中に何個かは決めて、明日考える事を減らそうかな~って」


「そんなに決めることがあるのか?」


「意外とあるんじゃないかな?」


「あるよ?あ、あとホテルの部屋は四人とも同じだからね?」


「は!?いや、そこは男女で分けるだろ!?」


「もしかして、金銭面とか?」


「え?違うよ?」


「じゃあ何で…」


「この方が楽しいから♪」


「オイっ!」


「…本当にそれだけなの?」


「うん!それだけ♪」


そして小春はもうひとつ付け足す。


「あ、それと明日は5時に起きてね?…じゃあ私は寝るから。おやすみ~」


と言って心春は先に自分の部屋に戻っていった。


「行っちゃった」


「心春ちゃんも行っちゃったし、明日は早いから俺達も寝ますか」


「そうするか~」


「そうだね」


「じゃあ、おやすみー」


「「おやすみ~」」


こうして瀬麗那達はそれぞれの部屋に戻った。もちろん優斗は光の部屋に向かう。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



そして、次の日の早朝。


昨日心春が言っていた時間より少し早く起きた僕は、とりあえず目を冷ますために洗面所へ向かった。


顔を洗い終えて鏡を見る。やはりそこには、いつもと変わらない見慣れた美少女が居る。いつも皆に言われるけど、改めて見てみると確かに否定出来ないほど美少女なんだと自分でも分かる。


「(そういえば、美少女、なんだよね…)」


こちらがニコッと微笑んでみると鏡の自分も同じ行動をとる。


「(やっぱり可愛い……。光達が言うのも無理ないかも?……って、いけないいけない!もう少しで自分に酔ってしまうところだった)」


急いでもう一度顔を洗ってからリビングに戻った。そしてカーテンを開けようと手でつかんだ時に、まだ外が暗かったのを思い出したので開けるのはやめる。


「(朝か……って言っても、まだ暗いけど)」


「(というか寒くない!?もう数日で4月なんだけどなぁ。ま、とりあえず皆が起きてくるまで何か温かいものでも飲んでようかな)」


そして、ココアを飲みながら三人を待つこと約15分。


ゆっくりとした足取りで二階から光と優斗が降りてくる。


優斗の方は元気そうなのだが光の方はというと、起きてるのか寝てるのか分からないほど眠そうにしていた。


「おはよ~瀬麗那」


「あ、優斗おはよう。それに光も…」


「ところで、瀬麗那は何でそんなに早く起きれちゃうの?」


「今日は、たまたまだと思うよ。いつもは早く起きれないと思うし」


「くっそ~俺なんかまだ眠いのに、もう少し遅くてもいいじゃんか…」


「まぁ心春ちゃんには心春ちゃんなりの考えがあるんだとおもうよ」


「いや、無かったら怒るし」


「まぁまぁ」


「あれ?そういえば心春はどこに行ったの?」


「いや?俺達は知らないぞ?今まで寝てたし…」


じゃあ心春はどこに行ったのだろうか。


と、その時。玄関で鍵を開ける音がした。


「ただいま~ってあれ?どうしたの?三人とも」


「〝ただいま~〟っじゃないだろ。どこに行ってたんだよ…」


「どこって?…早朝ジョギングだけど?」


「まだ暗いのにジョギング?」


「うん。少しでも無属性魔法を使えるようにいつもやっているんだ~。今日は6時に出発するからそれまでに走っておこうかなって」


「それなら、まぁ…いいけどさ。まだ暗いんだし気をつけろよ?…もしかしたら魔獣とかも居るかもしれないんだからさ」


「魔獣?」


「あぁ、瀬麗那には言ってなかったな。魔獣ってのは魔法使いに魔法で操られていたり野生で生きていたりしている生き物の事だ。そして魔獣に遭遇した時はどうにかして倒す」


「もしも…倒せなかったら?」


「逃げるしかない」


「まぁ他に方法があったらいいんだけど…」


「私なんか、まだ魔獣を倒せる力が無いから逃げるしかないんだ~」


「だから一応、瀬麗那も気をつけるんだぞ」


「うん」


「瀬麗那なら何とかする気がするけどね」


「そうかな…」


「だとしても油断は禁物だからな?もしかしたら近くに魔獣を操っている敵の魔法使いが居るかもしれないんだし、魔獣を倒せても魔法使いにやられたら意味がないんだからな」


「確かに…」


「じゃあランニング行ってくるね♪」


「「行ってらっしゃい~」」


そして5分後。


「ところで…もう少しで6時なんだけど…」


「うわっ!?びっくりした~」


「あれ?小春ちゃん…いつの間にランニング行ってきたの!?」


「そういえば確かに…ランニングにしては少し帰ってくるの早くないか?」


「え?だって今日は家の周りだけにしたからね♪」


「「そういうことだったんだ…」」


「それってランニングって言うのか…?」


「まぁまぁ細かいことは気にしない♪」


「「いや、気にするって…」」


「じゃあ、お兄ちゃん?急いで準備してね?私と瀬麗那さんと優斗はココで待っているから。ね?二人ともっ♪」


「へ?あ、うんっ!僕達もここで待ってるよ」


「ま、そういうことだから急いで着替えてこいよー」


「分かった…じゃあ10分待っててくれ」


「5分ね?」


「はぁ!?あ~もう、分かったよ!」


そして5分後。


「それじゃあレッツゴ~♪」


「おぉ~」


「「あはは…」」


そして、大変な予感がする旅行に向けて瀬麗那達は出発した。

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