明日は6時に起こしてね!
@shm6
早起きしなきゃ……
へいげんちほーにて……
「やぁ、シロサイ。今帰ったぞ」
「ヘラジカ様、おかえりなさい。ライオンたちの様子はどうでした?」
「うむ、いつも通り、闘志満々という感じだったぞ」
「そうですの。ふふふ、相手にとって不足なしですわ!それで、明日の合戦はいつ頃開始するんですの?いつも通りお日様が一番高く登った時に広場で?」
「それが……明日は早朝に合戦を行う」
「早朝ですか?ずいぶんと早いんですのね」
「ああ、明日の午後はどうも雨が降りそうだからな。早めに済ませることにしたのだ」
「でも問題ありませんわ。明日こそきっと買ってみせます!」
「ああ、この頃また負け続きだからな……ところで、明日は合戦のルールが少し違っていてな」
「違う?」
「そうだ。日の出の瞬間に合戦が始まるというのだ。その前に開始の合図などはない。だから暗いうちに起きていなければ圧倒的に不利になってしまうのだ」
「なるほど、目を覚ましたらすでに我々の陣地を囲まれていた、ということになりかねないのですね」
「うむ。だからシロサイ、折り入って頼みがある」
「なんですの?」
「私はリーダーとして無論早起きするつもりだが、万が一ということもある。それに備えて、シロサイも早めに起きて私を起こしてくれないか」
「もちろん。簡単なことですわ!おまかせあれ」
「おお、シロサイ、引き受けてくれると思っていたぞ!それじゃ明日はよろしくな!」
「……はぁ……『おまかせあれ!』と気軽に引き受けたはいいものの、よく考えたら責任重大ですわね……もし、うっかり寝過ごしてしまったら……まずいですことになりますわ。……そうだ!私を起こしてくれるように他のフレンズに頼めばいいんですわ。ちょうどあそこにアルマジロがいますわ。頼んでみましょう。……アルマジロさん!こっちですわ!アルマジロさん!」
「あ、シロサイ、どうしたのー?」
「実は……これこれこういう理由で……」
「なるほどー。それは大変だねー。よし!任せて!私が早起きしてシロサイを起こしてあげる!」
「本当ですの?助かりますわ。それではよろしくお願いしますわ……」
「うーん。早起きする……よく考えたらわたしそんなに得意じゃないなー。頼まれちゃったからつい頼まれちゃったけど……あ、ヤマアラシだ。おーい、ヤマアラシ」
「アルマジロ、こんにちは、ですぅ。今日もいい天気、ですぅ」
「うんいい天気だねー。あ、そうだ、ちょうどよかった!ヤマアラシ、明日の朝早起きして起こしてくれない?」
「早起き、ですかぁ?」
「うん、ちょっと用事があってねー、日の出の前に起こしてほしいんだー。頼むよー」
「いいですけど……もし寝過ごしたらどうするつもりです?」
「うーん、それは困るなぁ……。あ、そうだ。あそこにちょうどカメレオンがいるじゃない。ヤマアラシはカメレオンに頼めばいいんだよ」
「えー、それならアルマジロが自分頼めば……」
「私はちょっと忙しいんだー。今すぐ博士のところに行かないといけなくてねー
。それじゃ頼んだよー……」
「全く勝手、ですぅ。仕方ないです、カメレオンにお願いするです。おーい、カメレオン!」
「うわっ、何でござるか急に……。ああ、ヤマアラシでござるか。拙者に何か用事でござるか?」
「それが……」
…………
「はぁ……拙者を頼みにしてくれたものだから、喜んで合点承知したでござるが……本当に拙者は期待に応えることができるのでござろうか?ああ、約束を無下にしてしまったら、忍びとしての信用が台無しでござる……一体どうしたら……」
「お、カメレオン、どうしたんだ?そんなに暗い顔をして」
「ヘラジカ様……実は拙者、忍びとしての危機にありまして……」
「どうした、いってみろ。相談に乗るぞ」
「ヤマアラシの頼みで明日はとっても早起きしないといけないのでござる……」
「なんだそんなことか。実はわたしも明日は早起きなんだ。後で言うつもりだったんだが、明日は早朝から合戦でな……だから……」
「なぁんだ、そうでござったか。それなら問題ないでござる。ヘラジカ様が早起きするのなら、拙者が寝坊しても問題ないでござる……」
「はっはっはっ、まぁカメレオンも早起きするよう努力するんだぞ!」
「わかったでござる!」
その夜……
「まぁ自分で起きられるだろうが、シロサイにも念入りに頼んでいるし、大丈夫だろう……」
「アルマジロに頼んでいるから、きっと大丈夫ですわ……」
「ヤマアラシに頼んだし、きっと起こしてくれるよねー……」
「カメレオンは忍者、ですぅ。暗いうちに起きるなんて朝飯前、ですぅ……」
「拙者一人では心もとないでござるが、ヘラジカ様が早起きするのなら間違えようがないでござる……頼りになるでござるなぁ……さすがリーダーでござる……」
翌日、すっかり日が昇った時分に目を覚ましたヘラジカたちを、あきれた顔のライオンチームが取り囲んでいた。
ちなみにハシビロコウはとくに理由なく寝坊した。
〜おしまい〜
明日は6時に起こしてね! @shm6
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます