第5話

 数時間もそうしていただろうか。彼は椅子から立ち上がり、今まさに自分が座っていた椅子を持ち上げる。


 タイムマシンを作ると言う彼の生涯をかけた夢はかなった。

 しかしそれによって、彼の本当の夢である、過去の自分の後悔を正すことは、絶対に実現できないと言うことも分かってしまった。


 こんなタイムマシンは必要ない。


 彼は何度も椅子をタイムマシンに向かって振りおろし、それを完膚なきまでに叩き潰した。


 これからは、後悔の無いように、一日一日を精いっぱい生きようと心に誓って。

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