陽だまりの影は日増しに濃くなる。道すがらの色彩は、薄らぐ淡紅から鮮烈な萌黄へと衣を替え始めた。春自ら、そろそろ往くよとは語ろうはずもないが、私達は薄々とその気配を拾い上げる。誰も、何者も保証などしていない輪廻を漫然と信望するがゆえに、その日々を易く葬送してみせる。そうして、幾度も異なる過去を混同して、神妙なメランコリィに浸った眼をするのだ。

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