風と散歩

生温い。公報によれば、春一番はもう吹き去ったということらしいから、今日頬を撫でてゆく風の手は春三番とでも言えばいいのだろうか。漸く来たの?のんびり屋さんね。と、ついこの間人の世を駆けていった雨雪の精が、遅れ吹く春風に向かって微笑む夢想が過ぎる。春は少しだけ歩幅を緩めてくれた。もう、あと、僅かな日々を並んで歩こう。

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