読解と努力

草々緋美

本をよむ

「文字が読めないのに意外と熱心に読んでみてるとは、なかなかやります。」

ここはジャパリ図書館。

ジャパリパークの中で1番いろんなところを知ることができる場所だ。


新しいフレンズが生まれた時、大抵ここにやってくる。

そして、なんのフレンズか教えてあげる。

ここに来るまで、得意なことがわかっていないこともある。


今日やって来たのは、ロイヤルペンギン。

ここにやってくるのは結構苦労したみたいだ。

海が近くにないここまでは泳いでくるのが少し難しい。

でも、そこまでしてやって来たのはわけがあったみたいだ。



「博士たち、ダンスと歌について教えてちょうだい。って、あれ?博士は?」

「博士は寝てるのです。しばらく起きないのです。」

「そうなの。じゃぁ出直した方が良さそうね。」

「分かる範囲で教えるのです。ただ歌とはまだ理解できていないので、本を教えるます。」

アイドルの本を集めた棚に案内する。

ロイヤルペンギンは足早に付いてくる。


「ここの棚にある本、上から歌、ダンス、前と前の前のPPPって分けてあるのです。自由に見ていくといいのです。」

「ええ!?まとめてくれてたの!もしかして予知?」

「たまたまなのです。」


マーゲイがこの前やってきて、アイドルを調べにきたのがこんな形で役に立つとは思わなかった。

偶然にしては出来過ぎではないだろうか。

神聖な導きなのかもしれない。


「でも、ワタシ、本の中身分かるかしら?」

「本の中身が分からないなら博士が戻ってきたら聞くと良いのです。歌についてなら博士が詳しいのです。」

ロイヤルペンギン少し残念そうな顔をした。


「そんなに残念にしなくても大丈夫です。歌の本の中には歌うためのトレーニングも描かれてるので見れば分かるです。ダンスの方はもっとわかりやすくなってます。ただ、ダンスはよりトレーニングしなければ得意にはならないでしょう。」

「励ましてくれてありがとう。ワタシとりあえず頑張ってみるわ。頑張ってペンギンアイドルユニットを復活させてみせるわ!」


そう言うなり、ダンスの本をまずいくつか抱えていき、本を開くなり描かれているのと同じポーズをし始めた。

本の内容はよく見えないが、おそらくバランスのトレーニングをしてるのだろう。

熱心なフレンズだ。



しばらくして、アフリカオオコノハズクの博士がジャパリ図書館に戻って来た頃には、ロイヤルペンギンはキレイにくるっと回ることができるようになっていた。


「いない間に練習していたようですね。」

「そうです、博士。寝てるときと食べてるとき以外は本を読んでトレーニングをしていたのですよ。」

「なるほど。ところで助手、ロイヤルペンギンは文字が読めているのですか?」

「読めてはいないのです。ただ、絵を見て真似ることで練習していたのです、博士。」

「これは別の意味で期待できるのです。仕方ないのでステージを作ってあげる必要があるかもしれないのです。」


ステージがどういうものかはまだ分からない。

けど、こんなにも練習して得意になっていくのだからそれは良いものになるだろう、

そう思わずにいられなかった。

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