第54話 動きだす小悪党
「なあ、あの金髪のお姉ちゃんは誰だ?」
「あの方はデルマイユ家のアイリス様です。亡くなった神父様の代わりに私たちの援助に名乗りを上げてくださったのですよ」
チンピラ3人組が衛兵たちにふん縛られた後、金髪の綺麗なお姉ちゃんがやって来た。子供たちと嬉しそうにいる姿は『このシーン、1枚の絵になるんでね?』ってくらいにきまってる。なんせ教えてくれた院の姉ちゃんも見とれてるくらいだからなぁ。
「へぇ、援助ね」
ノブレス・オブリージュだっけ?貴族の義務だかなんか…子供たちがなついてる辺り何度も足を運んでそうだが。
そのお嬢様はオレたちをみるとお辞儀して
「冒険者の方でしょうか?
なんだろうね、挨拶ひとつで優雅さが滲み出てるわ。ナナイとホルンもぽーっとしちゃってるし
「は、はい。私はナナイです」
「ホルンだニャ」
「トランです」
ナナイが慌てるなんて珍しいね。
オレ?動揺なんかしてないよ?…
オレらの挨拶に『あら、かわいい』なんて言われたからってデレてないよ…
デュフフ
とりあえず立ち話もなんだからとオレたちは院内に入れてもらった。子供たちはお嬢様と遊びたそうだったけど『大事な話があるから』と我慢してくれた。向こうはオレらに用でもあるみたいだ。子供たちはボールやらラケットやらで遊び始めたらそっちに夢中になっていた。無邪気でいいやね。
ガラの悪いオッサンたちが連行されていくのを見ていたらしい。その事の
「ここ最近、そういった野蛮な人たちが増えてきたっていう話を小耳にはさみまして、衛兵の方たちの巡回も強化してもらうところだったのですが…」
なるほどね。そこへ来ての…。
「魔物の抗争、ですか」
「そうです」
ナナイの返しに力なくうなずくお嬢様。そりゃリザードマンとオークの軍勢がドンパチ始めたら気がきじゃないわな。そこを奴らは突いてきたのか。
…
…う~ん、アイツら頭悪そうだけど人は見かけによらない?いや~
…
「アイツらにさ、親玉なり元締めがいたりするんじゃない?それも頭のキレる」
「そうでしょうね。そこさえ解れば…」
そんな話をしている時だった。外から一人の少女が駆けよってきて
「お姉ちゃん、リョット君が知らないおじさんに連れていかれちゃった!」
はぁ!?
くそっ!油断した!襲撃直後だから2度目は無いとふんだのに!オレは外に出て臭いを嗅ぐ。クマの嗅覚って犬並みらしい。
因みにオレはいつもは常時遮断してるけどね。
久しぶりに解放されたオレの嗅覚は少年とおぼしき臭いを突きとめる。ナナイとホルンは臨戦態勢だ!
…見つけたは良いが嫌な予感がするなぁ。
「ナナイとホルンはここに居てくれ!これが
「わかったニャ!ボコボコにしちゃるニャ!」
「うん、トラン君お願いね!」
「おう!」
オレは屋根に上がりショートカットをする。まあ、宿に行く前に臭いを
たどり着いたところは町から最南端の倉庫街だった。その中でも増築でごちゃごちゃした倉庫が奴らのアジトっぽい、部屋数多そうだな。面倒な…だからこそ、ここを選んだのか?ともかく倉庫の窓から中を
無事を確認したいがこれ以上踏み込むと確実にバレるな。それにホルンの方も心配だ。オレは心のなかで少年に詫びながらその場を離れた。
宿につくと何故か元気の無いナバルとウキウキのノベルさん達がいた。何があったか気になったが取り合えずオレたちの状況を話す。驚くノベルさんとテリオ、ブチギレ寸前のナバル。
「その子供をどうする気なんだ?」
めっちゃキレながらオレに聞いてくる。オレにキレるのやめてくれない?
「さあな。でも状況から推察すると人質のつもりだろな。テリオとノベルさんはさっき言った孤児院でナナイたちの護衛を頼みたい。ナバルはオレと一緒にカチコミな」
「…カチコミってなんだ?」
「殴り込みだよ」
「相変わらず変な言葉使うなオマエ」
テリオたちは装備を整えるために部屋に戻る。オレたちも…そういえばアレがあったなぁ。ギルマスと作った魔道具が(オレは案を出しただけ)
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