異世界転生したら妹がおかし可愛くなっていた
黒井黒
第1話
俺は目が覚めると真っ暗な世界に来ていた。
自分が知らない世界。
そんな中でも俺は何も驚かなかった。
「ふふ、ふふふふ、ふははははッ!」
自分でもよく分からない笑い声を上げているが、これは決して俺の頭がトチ狂った訳じゃない。
ただ自分が思いもよらないことでここにすっ飛ばされてきたから気が動転してるのだ。
「え?さっき驚いていないっていったって?それは嘘だ。…………って俺誰に喋ってんだ?」
俺がこうなったのもついさっきの出来事のせいだ。
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俺の名前は【
埼玉県出身の高校二年生だ。出身は埼玉だけど偏差値の高い東京の都立高校に入っていた。今では過去形だが俺は高校も半分くらいコネで入った、いわゆるボンボンと言うやつだった。
学力は平均より少し上、顔も普通の金しか持ってない俺のステータスと言えば、唯一周りの女の子がみんな美形ばっかだったぐらい。
お母さん、幼馴染、近所のお姉さん、その他色々と俺は女の人にものすごく恵まれて育った。
自慢してもいい。俺は生まれてから一度もブスというものを見たことが無い!
だが、一人。ブスとは思っていないが俺が初めて普通
だなと思った人物がいた。
それは………………【妹】だ。
ただ単に兄弟だったからって言うわけじゃない。色んな美形を見てきた俺には分かる。妹はめっちゃ普通だ。黒髪でショートカットで背が低くて、どこにでもいそうな女の子。
でも、妹は頭は学年トップの運動神経抜群でおしとやかな奴だった。今年で15歳になる予定だったあいつと俺は兄弟として仲が良かった訳でもなく、かと言って悪い訳でもなく微妙な関係だった。
けれども俺は、あいつの兄貴としてあいつの事はいつも気にかけていた。小さい頃は良く一緒に遊んでやったし、勉強も教えてやったりした。
でも、突然あいつは俺と遊ばなくなった。
中一になってからだ。妹は部屋に閉じこもり学校と部活と食事以外は一切部屋から出て来なくなった。
出てきたとしても会話なんてせず、せっせと自分のやる事やって部屋に帰ってしまう。
そんな妹の姿を見て、俺含めお父さんとお母さんも心配していた。
そんな生活が続いて何ヶ月かたった時。妹は何故かいきなり………………死んでしまった。
死因は事故だった。土日の部活帰り、一人で帰ってくる時に信号無視をした妹をそのまま車が突っ込んだらしい。それを聞いた時、俺はまずびっくりした。規則や約束をいつも必ず守る妹が信号を無視した。その時何を思って信号無視したか分からないが、それは妹の死んだ姿をみた瞬間どうでも良くなった。
その何日か後に葬儀をやった。みんなおいおい泣いてた。もちろん俺も……
そうして、妹が死んで2年が経った。俺もすっかり高校二年生。女にも友達にも恵まれている……お世辞にもそんな事言えなかった。彼女はいないし友達もあまりいない。
そんな中、事が起こった。
俺は一人で湖で釣りをしていた。俺はのんびりするのが好きだ。釣りはのんびりするのにとっておきのものだ。
そして、いつも通り釣りをしていたが……
「おっ?」
竿がグイグイ引っ張られている。
「これは久しぶりの大物か?!よしきたぁ!」
俺はそれを思いっきり引っ張った。でも全然ダメだった。挙げ句に俺はそれに引っ張られて……
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「そして、そのまま溺れて死んだ。でもまさか魚に負けるなんて思わなかったなぁー、あはは」
とことん暗い世界で明るく叫び続ける。ただ単に怖い、暗い、帰りたい。帰る場所ないけど
そう思っていると前が明るくなる。
何やら人の形をしたピカピカ光っている物が落ちてきた。
「何だよあれ!もしかして、天使!?それとも女神様!?どっちでも良いけど!」
そして、俺の目の前まで来ると光が弾けて姿が露わになった。
「は?何だ、タダのクソジジイじゃねえか」
「クソジジイとは何じゃ!これでもワシ神様なんじゃぞ!それをクソジジイって……この罰当たりめ!」
「ハイハイ、そのクソ神様がなんか用ですか?」
後で覚えとけ的な視線を向けてくるクソジジイ改めてくそ神様はなんか急に出てきた椅子に腰掛けた。
「はぁー全く!何でこんな若造の相手をわしがせにゃ行かんのじゃ!もっとかわい子ちゃんがよかったの〜」
「かわい子ちゃんじゃなくて悪かったな!それでクソ。何の用」
「おい!神様まで抜けてるぞ!それじゃワシただのうんこになるじゃろ!せめて神様を付けろ!」
ため息をつく。めんどくさい神様だ。胡散臭過ぎる。
「それで、その神様が俺に何の用ですか」
そう言ったら、神様は一枚の紙を俺に渡してきた。
「ワシ説明出来んからそれ読んどくれ」
何の為に来たのかとツッコミたくなるがこれ以上つっこむと長くなりそうな気がしたから黙ってそれを読むことにした。
「なになに、異世界の案内書?」
長くなるから以下省略するが、つまりはこういう事だ。
その世界は魔物と人間が平和ボケしながら暮らしていたが魔物が暴れて世界ピーンチ、救援求む。そんな事感じ……
「おいジジイ、これお前の手書きだろ」
「おぉ!よく気づいた!これはワシが試行錯誤を重ねてようやくまとまった案内書じゃ。初めて見た人にもわかりやす「そっか、それじゃ始めてくれ」くって人の話を聞かんかぁーい!全く、お主と話しているのは疲れたぞ」
熱弁奮っていたジジイの言葉を止め、さっさと異世界に転生させてくれと頼んだ。
「容姿、記憶、全てにおいては今のお主を元にやるから安心せい」
そう一言ジジイが言った後に、俺の周りに淡い光が漂い始めた。そして、微かに体が浮く感じ、俺……異世界に転生しようとしてる!
「それでは良い旅を御堂一希さん」
ジジイが決めセリフを言った直後、景色が一瞬で変わった。ヨーロッパ風の建物が立ち並び、小さな商店が立ち並んで賑わっている。
「本当に異世界転生しちゃってるよ俺」
アニメとかラノベとかで見たのと変わりない。そのままThe異世界。
確かあの神様が言っていた通りなら、この世界は魔物が暴れてるらしいけど……
「まぁ俺には関係ないか!取り敢えずぶらつこう」
今は噴水広場的な所にいるがぶらつこうにも何が何だか分からないから一歩も動けない状況だ。でも俺はこんな時の対処法を知っている。
「酒場を探そう!この世界の荒くれ者達が集まる酒場なら色々情報が聞けるはずだ」
アニメとかゲームで良くあるだろ?行ってみると大抵情報の一つや二つすぐに出てくる。そんな情報ホイホイな酒場ならこの世界の事がよく分かる。
早速俺は酒場を探した。色々な人に声を掛けた。そして、たどり着いたのが……
「Sisterbar《シスターバー》」
なんだろうここ。入っちゃダメな気がする。なんとなく。それにシスターバー何てバーじゃなくていかがわしい店じゃね。それは妹がいた俺としては少し抵抗があるんだが……
「すいませーん。シスターパフェを一つ」
「はい!かしこまりました!」
俺はいつの間にかその店に入っていた。別にいかがわしい店では無かったが、なんかこう恥ずかしいというかムズムズする。
でもここが一番人が集まるって言っていたんだが。周りの客は男性八割、女性二割って言ったところか。ていうか女性って何しに来んの?
そんな事を思っていると、お兄ちゃーんと言いながら俺の頼んだパフェを持って走って来る女の子がいた。
店の設定上仕方ないと思うが、なんか可哀想だ。
そして、走ってきた子は俺の前に着くなりいきなり固まりだして、皿を地面に落とした。
「!? どうした?何で落としたんだ?」
よく見てなかったが、その娘はハッキリ言ってものすごく可愛かった。膝まで伸びた黒髪で少し幼げなかわいい感じの癒し系。マジでどストライク。
でも、何故かその娘は俺を見て固まっている。その娘が落とした皿を周りの店員さんが片付けている中、ずーっと固まっている。
「あ、あの?なんか失礼な事しましたか?」
俺がそういった時ぱっと顔を上げて、黒い瞳をウルウルさせながら頬を赤らめているその娘にときめいていた。その言葉がなかったら……
『兄さん?』
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