第6話

枝豆を食べ終わる前に、葉野君の戯言に対して何か言わなければ。


「奥さんと上手くいってないからって、 同級生に冗談言わないでよ」


カクテルグラスを指でいじりながら言った。


「冗談じゃないよ……。 懐かしいからでもないし、 誰でもいい訳でもない。 久々に会ってみて、 何か気が合うと言うか」


「二十年会ってなかったんだよ? ザックリ言って。 なのにどうして?」


「あ、 気が合うなとか。 会ってみていいな。 とかあるでしょ? そんな感じかな」


「私。 嫌よ……。 面倒な事になるの」


「取り敢えず付き合ってみない? 色々問題あるけど、 はっきりさせるから」


「い・や・だ。 はっきりさせない内から変な事言わないで。 大体簡単じゃないでしょうが。 離婚は精神的につらいし、 色々大変なのよ? 慰謝料だなんだとか。 て言うか、 奥さん別れないんじゃないの?」


枝豆を食べ終わる前に、結果はでないか。

「別れるよ。 あいつ浮気してるみたいだし」

「はらいせじゃないの。 それ……」


「うーん。 違うなぁ。 確かに嫌な思いしたけど、 仕方ないって思ったし。 でも今日大原と会ってみてピンときたのは確かだよ」


「いい加減な感じね」


「素直なだけです」


「調子いいだけでしょ!」


グッとカクテルを飲み干した。




「送るよ」


「平気」


居酒屋から出た時は、空にクッキリ月が浮かんでいて夜風が熱い頬を冷ます様に吹いて気持ちがいい。


春の終わりの風は生暖かい。もうすぐ暑い夏がやってくる。



「危ないし送る」



結局家まで送ってもらった。


「じゃあね。 ありがとう」


「次いつ会える? 同窓会まで無理?」


「お互い忙しいでしょ? 同窓会で会いましょう」


家の門を開け、中に入った。


「ねぇ本気なの? さっきの…。」


「本気だよ」


「きちんとしてよね。 私嫌よ? ドロドロになるの」


「分かってる。 またメールするよ」




家に入り、子供達の寝顔を見つめた。


いいのかなぁ。私……。


信じられない気持ちと、ダメだと言う気持ち。

半分で迷う私の気持ち。


二十年振りのかたおもい。


思わぬ展開になってしまった。

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