価値と対価
草々緋美
観たかったもの
「助手、準備できましたか?」
離れたところにいるミミちゃんに叫んで聞いてみる。
「はい、博士。こちらは準備完了です。」
「それでは動かしてますです。」
目の前にある大きな装置のうち、赤いやつを押す。
すごい音がしたので驚いて後ろに下がった。
振動もすごい。
今まで使われていなかったのだから当然だ。
ちゃんと動くのかどうかも怪しい。
「どうですか、博士。」
助手であるワシミミズクのミミちゃんが戻ってきた。
動かそうとしてるのはゆうえんちのエリアにある観覧車というものだ。
このエリアにはいろんな乗り物があるが、この乗り物は上に移動できる乗り物で、パークの中でも数少ない貴重なものだ。
この頃、天気が良い日が続いたので、動かせるかどうかを初めてチェックしにきた。
「やりましたよ。うまく動きそうです。」
大きな丸が少しずつ回り始めた。丸の外には箱がついていて中に入ることができる。
入り口から乗るときは一番下の状態、乗ってる位置に丸が回転して真上まで移動できるようだ。
大きさ故に動きもゆっくりに見える。
「さすが博士です。さっそく乗ってみましょう。」
「そうですね、乗りましょう。」
ミミちゃんと一緒に箱の上に立った。
あまり動いている感じは直接感じないが、徐々に上に移動しているのは景色を見ていると実感できた。
「ヒトは飛ばない代わりに面白いものをつくったものですね。」
「その通りですね。あ、博士、あそこに図書館が見えますよ。」
「そうですねね。こうしてると、飛んでるときよりも疲れずに見ることができて楽ちんです。」
その時、何かイヤな音がした。
なんとなく逃げたほうが良い気がする。
「助手、隣の箱に移りましょう。」
同じく何かを察知きたのか、ミミちゃんは反対しない。
一緒に隣に移った。
今度はイヤな音はしなかった。
「ちゃんと動くのかチェックが必要ですね。」
「そうですね、博士。でもこれはどういうふうにチェックすればよいのでしょうか。」
「助手は箱の上でジャンプしてみてください。壊れそうだったらラッキービーストになんとかしてもらいましょう。」
「さすが、博士は天才なのです。さっそくチェックしてみましょう。」
ミミちゃんは更に隣に移ろうとする。
「今はここまででよいのです。今度ラッキービーストと来たときにやりましょう。」
「わかりましたです。」
「アフリカオオコノハズクである長のお願いであればやってくれるでしょう。」
何度もラッキービーストを助けてるのだ。
話はできないが、聞こえてないわけではないし伝わってないわけでもないことは分かっていた。
ちゃんと説明すれば何かしらのことをしてくれるはずだ。
普段飛ばない高さまでやってきた。
やはりパーク全体をよく見ることができる。
ここは貴重な場所に、乗り物になりそうだった。
「ここまでにして止めましょう。そして図書館にかえりましょう。」
「わかりました。では。」
ミミちゃんと元いた場所に戻れるよう一緒に飛んだ。
価値と対価 草々緋美 @Kusa2_hibi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
冷たい密室と博士と助手/草々緋美
★4 二次創作:けものフレンズ 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます