決闘、やり直し
「何だと?」
静まり返った決闘場。
俺に一番最初に反応したのは、煉だった。
「聞こえなかったのか? 俺に不満がある奴、全部相手してやるって言ったんだよ」
理解出来ない――そんな反応をする煉。
その意味が分からないと言うのならそれでも良い。
「……なあ、立会人。決闘の上限人数は?」
「えっ!? ……え、えっと、確か上限は無いはずだけど……でもそんなの、『普通』じゃ――」
さっきからチラチラ見てくる彼女に、そう問いかけると答えが返ってきた。
……なら全く問題ないな。
アタフタを繰り返している先輩は放置するとして。
「聞こえてるか観客共――三分間待ってやる、覚悟の出来た奴だけ降りて来い」
ざわつく観客席。
さっきまでの威勢はどうしたっての。
「三分後……全員纏めて決闘だ――分かったな? 来なかった奴は全員俺にビビッて逃げた臆病者って事でよろしく! じゃあな」
最後にそう投げかけて、俺は決闘場を出た。
☆
外に出ればほんの少し冷静になれるか――そう思ったが無駄。
いいや無駄ではないか。あのまま観客席を眺めていたら、あの席ごと破壊したくなってしまう。
ただ一向にイライラは収まらない。
奴らへの怒りが、ずっと俺を支配している。
ただその元は、俺の誇りの親への侮辱。
無理矢理鎮めようとも思わない。
「もう時間か」
俺は扉を開けた。
「……へえ」
思っていたより、少ないか。
俺の目の前には、大体三十人ぐらいが立っている。
さっきまで三人だったのと比べるとかなり圧巻だ。
それでもまだまだキャパがあるのを考えると……この決闘場のデカさが際立つな。
「テメエ、本気なのか?」
その大人数の中、中心に立っている煉が言う。
周りの生徒達も同じような事を聞きたそうな様子だった。
そして立会人の彼女も、小走りで寄ってくる。
「て、転校生君、本当にこんな滅茶苦茶な決闘を――」
「本気だよ。こっちはすげーイラついてんだ」
「一応決闘の申請、受付は完了したよ。 ……いいんだよね?」
そう言うと、諦めた様な顔をする先輩。
「ああ」
「え、えっと……神楽さん達、三十一名全員も準備完了しましたか?」
頷く全員。
見れば杖のような物を構えている生徒達。
準備の出来ていない者もいるのか、構えておらずにいるものもいる。
とにかく数が多くてどれがどれか分からないな。
でも、関係ない。
全部まとめて相手するだけだ。
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