アルバイトの研修期間は3年間となっております
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西暦×××××年
竜と人と魔物が生息する世界。
古来より竜は大きく3種類に分類され、
名を住処の土地と、性能の特徴から、
「
「
「
と伝承された。
人間である「
神の怒りに触れないようにしていたのだが、竜は拠点を広く陣取り食料である魔物を狙い討伐しようとする人口の多い人族を敵視し、繁栄を衰退させようと人族の地に降り立ち、襲うことが続いた。
人族は神の怒りを鎮めるための防策として、魔術を駆使し戦闘技術を磨くと共に、飼いならした魔物を戦闘兵とし、竜に迎撃した。
それでも竜の力に敵わず、恐れおののいた人族が起こした苦肉の策として、唯一、人の国に近い山を住処としていた水竜に助けを乞うた。
互いの要件を呑むことを契約とし、水竜は人族に協力し庇護したため、火竜・氷竜両者の対立関係となった。
しかしこの甲斐あって人族は繁栄を途絶えることなく維持することができ、水竜と共存する国が代表として4つ建国されていった。
軍隊に入隊するための武術学校や、その他戦闘技術の育成機関が多く設営された『レミリュカ』。
作物の育ちやすい緑豊かな土地、そして捕獲した魔物を飼育する環境としても適している『エピドク』。
経済の動きが活発で貴族中心とした先進国、『ヴィアンネ』。
そして水竜が人族と同様の形姿に成り変わり、同じ生活を送る魔術の発達した国、『ディオルア』。
人族は作物を耕す農民、
魔物を討伐および竜から迎撃する戦士、
それと同様に防衛に特化した術士、
商人・職人・学者、
世の理なのか、位を定めて上高々と見降ろしてのうのうと生きる貴族など…。
人族は自らの職務を持ち、国中に生息する魔物を
討伐し、
または捕食し、
または飼育し、
更には売買し、
生き延び長らえていった。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
×××年後…
水竜の住処「アクスベルク」に一番近いとされる『ディオルア』の北西。
都心からかなり離れた田舎町―――『レシュテ』。
ぽつぽつと民家がある住宅街からも離れた一角。
そこに土や木材・藁を基調とした民家と場違いなほど、全面真っ白く石灰を材質とした壁で覆われた舗が。
「今日もないわね…。もう募集してから2週間よ、2週間。日数にすると13日と9時間51分経過ね」
彼女は聞こえるように愚痴をこぼしながら、紺色の翼をこれでもかとバサバサ音を鳴らしながら入口とカウンターを往復していた。
「こんな魅力の要素が一切詰まっていないチラシをみて、誰が志願してくるのかしら。むしろ音沙汰なく経過していることが正常かもしれないわね。というか、自ら足を運んで勧誘しようとしないのにも関わらず、ただ座って志願者を待とうとするその精神自体が愚かなのよ、浅はかなのよ、骨折り損なのよ。いや、苦労なんてこれっぽっちもしていないから骨も折れていないわね、うん、折れた方がいいわよ一度は」
黒く小さく、可愛らしい口ばしからは想像もできないほど軽快な皮肉が流れるように浴びせられた彼は、いつもの事なのか、さほど気にもしていない表情で三日月のように細目の目尻を垂らしながらカウンターの丸椅子に姿勢良く座っていた。
「
「支障なんてアンタが思っていないだけで、支障だらけなんだからねっ!人手も鳥手も足りませんわよ!現状アタシなんてこき使われまくりの奴隷じゃない!賃金も報酬もないじゃない!不合理よ!外道よ!アンタが気長に待っている間、アタシは最後の羽一本抜け落ちて飛べない姿になっても腐敗して骨だけになっても、蘇生魔法や命操術をかけられて味がしなくなるまでしゃぶりまくられるんだわ!ああ嘆かわしい!」
わざとなのか憤怒していて気が付いていないのか、あまりにも翼をばたつかせるものだから、数枚羽が抜け落ちフワフワと緩やかに宙を舞っていた。
なおも彼は表情を変えず彼女の叱責を右から左へと聞き流していると…
カランコロン…カランコロン…
「あ、あの…。入口の募集をみたんですけど…」
彼女同士、互いに別の意味で目を見開いて驚くのは、その
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