あさごはんが逃げた話。 ~魔術師の森物語~
ひょーじ
第1話 世界の話をしよう(圧縮版)
ここは、森の町。
広い、広い、途方もなく深い、森。
豊かな森の中には広場があり、目抜き通りが森の外に続いている。
殺風景で店も建たない目抜き通りは、魔術師達の自治区である森の「管理塔」を起点に、森の外の街道と広場だけを繋いでいる。
森の中には、互いに繋がりを持たない多くの
道を知らない者が簡単に入り込めないそこは、研究に没頭する魔術師達の集落だ。
「
魔術をかけられるのを防ぐため、誰もが本名を名乗らず、通称や魔法名で生活する、森という名の「町」。
そんな場所に、ちょっと奇妙な場所がある。
森の外れの通りにある「錬金術師」の小さな集落。
かつて「魔力に頼らず金の生成を成し遂げん」と、一部でさかんに研究が行われた「錬金術」。魔法に頼らず成果も上がらず、研究資金を食いつぶすだけの「錬金術師」は、長らく「まがい物の術師」「術師という名のペテン師」の代名詞だった。
が。その研究の副産物として偶然「魔力」そのものが物質として抽出された事で、錬金術はちょっと見直される事となる。
「魔力物質」の発見。
金の生成は遂に成されなかったが、これを機に不名誉であった呼び名はめでたく市民権を得た。
今では「魔力物質」そのものや、それを動力として生かすからくりを研究するようになった「技術師」達がその名を受け継ぎ、日夜研究に明け暮れている。
魔法の栄えるこの国でそんな事に没頭するのは物好きだ、という認識は、今も昔も変わらないのだが。
彼らは「技術師」。
通称「
ある者は、未だかつてないからくりに全てを捧げるために。
ある者は、変わり者として世間で爪弾きされて。
ある者は、研究に必要な材料を身近に求めて。
ある者は、理想を追い求めるに適した環境として。
ある者は、なーんにも考えずに。
変わり者の集まる通りに、少しずつ家が増えてくる。
彼らが集う森の外れの「
今回ここに語られるのは、彼らの「日常」と言う名の「語られぬ伝説」である。
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