第8話 香港

香港までは約五時間ぐらいかかった。

ララの友達は、すぐ近くのホテルに迎えにきているという。


ララは香港行きを僕が普通に帰れるように日帰りにする計画らしい。

「ララの友達ってどういう子なのかな?」

同じ歳ぐらいの女の子かな?

トンデモなララの事だから、うんと歳上の人という事もありえそう。

「今から会う友達は私にベビーシッターの事を教えてくれた人なのです」


ララの話では、香港ではベビーシッターを利用する人が日本より多く

家事代行を頼む人も多いらしい。

それを知ったララは数年前に自分もベビーシッターになるべく、勉強のために香港に来た。

今から会う友達、システィさんは二十代の女性だという。

「ララ!」

待ち合わせのホテルのロビーに着くと東南アジア系の顔立ちの若い女性が近寄ってきた。

香港って僕たちと似ているアジア系の人たちが多い国だと思っていたけれどシスティさんと思わしき女性はフィリピンとかカンボジアとか、もう少し南の方の方の印象だ。


ララが英語でシスティさんとハグをしながらの再会をしている。その流れで僕の紹介もしてくれたのだろう、システィさんが英語で自己紹介らしき事を言って握手を求めてきた。

もちろん僕は英語なんて話せないから

「は、ハロー」

とだけ言い、握手した。


またララがシスティさんに何かを話す、するとシスティさんがララのような少し変わった日本語で話し出した。


「日本人の人間だったですね。私、少し日本語できるですよ」


香港には日本人観光客も多く来るのでシスティさんは日本語も勉強したと言う。


システィさんと合流した僕たちはシスティさんの住まいに向かった。そこは失礼ながら、二十代(システィさんはそう見える)の女性が住むにはあまりにも大きな豪邸だった。

システィさんもララのような大金持ちのお嬢さまなのだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る