猫人小伝妙『今山の戦い』

今村広樹

前口上

室町むろまち期から戦国せんごく期にかけての北九州は、博多はかたを中心とした対明貿易の権益をめぐって

大内おおうち

大友おおとも

少弐しょうに

の三氏が争っていた。

大宰府だざいふと博多を有した大内が全体的に有利だったが、鎌倉以来の名門である少弐も、大友の後援や、在地領主の支持でしぶとく持っていた。

そんな中、頭角を現すのが、龍造寺家兼りゅうぞうじいえかねである。

彼は少弐家の有力な家臣だったが、大内の内応ないおうに応じたことが、全ての始まりだった。

彼に父を殺された少弐冬尚しょうにふゆなおは家臣である馬場頼周ばばよりちか

『家兼がほんとううざいんにゃよねえ、一族郎党殺しちゃってにゃ』

『ヒヒン、わかりました』

と、命じ、こうして家兼以外の龍造寺の一族は殺されてしまい、家兼自身も逃げのびたのだった。

そして家兼は、龍造寺を追いだして油断してる隙をついて、同じく

なんとか逃げた、後に隆信たかのぶとなるひ孫とその母を庇護していた鍋島なべしま家の力を借り、敵を討つ事が出来た。

さらに、家兼死後、後を継いだ龍造寺隆信は、ついに元の主家である少弐を滅ぼしたのである。

その間に、博多をめぐる対立は結果的の大内の後継になった毛利もうりと大友にシフトしていた。

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