登場人物紹介

分かり辛かったところ、補足します。

知って後悔する部分も少々……。



 典甚てんじん


 小幡神社を始め、様々な寺社に出入りしている僧侶。年齢不詳だが普通の人間の倍近くは長生きしているようである。

 昔の名は『佐之助』、由緒ある家柄の侍であった。

 普段は真面目な男だったが、婿入り先で羽目を外してしまい、封印されていた妖怪を起こしてしまった。その時一緒に居た義弟を死なせてしまう。当時、仇討が奨励されていた時代だった(志乃達のいる時代は御法度となっている)ので、例え妖怪相手だろうと死に物狂いで追いかけることとなる。

 妖怪たちの住む「宵闇町」まで追い詰め何とか相手を打ち取るも、顔にひどい傷を負う。(顔が変形しているのはその時のもの)だが、宵闇町に入った代償として、無理矢理打ち取った仇の肉を喰わされてしまった。

 そして、命からがら帰ってみると、現世では七十年の月日が経っており、自分が住んでいた屋敷は勿論、身内すら居なくなっていた。


 それ以来、己の犯した罪と妖怪を呪い、出家してとある僧に弟子入りする。作中に出てくる闇屋「権蔵」は典甚とかつての同門の仲である。一人立ちした後は、各地を放浪して様々な寺社を訪れ、修行や妖怪討伐、時に有望な者がいれば、討伐者としてスカウトするなどの生活をしていた。

 その中でイロハの母となる「莉緒」を見つけたのだが、丁度この頃からケノ国の妖怪が活発化しはじめたので、ケノ国(主に北部)に留まるようになった。


 最近では志乃の目付世話人としての役目が多く、日々奮闘しているが中々上手くいかないようである。



オカイコサマ


 普段、木の根元等に生息している地霊の一種。小さな細い巻貝のような姿をしているケノ国の妖怪、漢字だと「御貝子様」という表記になる。

 子供が遊んで穴を掘ってると出てきてしまうことがあるが、うっかり潰してしまうと家が衰退する等と言われている。

 「これ以上この場所を深く掘ってはいけない」という警告の役割をしていると思われるが真相は不明。

 作中では志乃がオカイコサマの夢に入り込んでしまうという現象が起きたが、何故そうなったかも謎。近いうちに引っ越すと言ったのは、志乃の身に起こる出来事を察知し、星ノ宮神社の結界が一時的に強力になものとなり、住みにくくなるからであった。

 予知能力や夢を書き換えるなど神秘的な能力を持つことから、神に近い存在ではないかとも推測できる。



 安倍あべの たき


 珠妃を復活させる際に媒体として利用された少女。だがその時、かろうじて

生きていた為に珠妃と共生する形で現在に至っている。気立ても良く、何でも

こなそうとするが、そんな自分を「損な役回り」と考えているようだ。

 しかし、日々他人に尽くす生活を送ってきたせいか「徳」が異常に高くなってしまう。珠妃とお瀧は魂が複雑に絡まった状態で覚醒しているので、切り離すのは難しく、神々としても「徳」の高い人間をそうそう殺す訳にはいかないようだ。

「珠妃と一緒に消すか否か」の議論となり、意見が纏まらない状態となっている。

(珠妃自身はこれに勘付いており、お瀧を人質として利用しているようだ)


 京生まれの京育ちだが、母は大阪人。周りに明るく振る舞い、面倒見もいい。珠妃の拾ってきた子狐に「美鬼」「麻希」と名付けたのもお瀧。

 二匹は珠妃よりもお瀧に良くなついているようだ。



さくら 


 自分は幽霊で、死んだ場所がわかれば成仏できると信じ、旅を続けていた女性。

唄を通じて志乃と友人になるが、度々彼女に指示を出してくる者に、突如「志乃を監視すること」を強要される。

 さくらは元々人間でも幽霊でもなく、何者かの手駒だったのだ。彼女が「さくら」として誕生した時には、既に記憶を刷り込まれていたのである。

 指示を出してくる者にあったことは無いが、それに従うことが自分の全てだと思い、時に難題を押し付けられても、持ち前の能力で淡々とこなしてきた。

「幽霊の掛け軸」では天狗や佐夜香まで利用し、幽霊の掛け軸まで盗み出そうとしている。(しかしさくらの手元には掛け軸はなかった。これは一体……?)善悪の判断がずれているというより、送られてくる指示を優先に考えていたのだろう。


 だが、志乃に出会ったことで、自分のしてきたことがおかしいと思い始め、終いには指示に逆らい志乃についた。自我が芽生えた瞬間である。

 「歌詠み幽霊」では妖気を漂わせ、「幽霊の掛け軸」では結界の弱い部分を見つけたり壁をすり抜けたりと、幽霊らしい能力を持っていたことがわかる。見鬼である佐夜香が見つけられない物を見つけたり、志乃達が読めない日誌を読めたりと、彼女特有の視界を持っているようだ。

 なお「白昼蝶夢の章」で典甚や僧侶たちが苦しんで倒れる描写があったがさくらは人を傷つけるような能力は持ち合わせていない。さくらを討つか躊躇う志乃の背中を押す為に、典甚がとった芝居だったのである。



 月夜見ノ簪つくよみのかんざし


 志乃が巫女装束を纏う時一緒に頭にする簪。先代の巫女もつけていたらしく、

星ノ宮神社を去る時、こっそり小幡に返したらしい。イロハの母の形見でもある。


 一体いつからあり、誰がこしらえたのか、そもそも何でできている物なのかはわからない。普通の簪にしては大きく、変わった形状をしている。先代は好んでよくつけていたらしく、志乃もつけると気分が落ち着くらしい。


 たまに志乃の頭に話しかけてくる声は簪からの声だった。まるで神の類であるような発言をしたり、志乃に結界の張り方を教えたりと謎が多い。志乃が簪を外すと声が聞こえなくなり話しかけても何も答えない。夜、志乃が話しかけても反応しなかったのはその為。

 だが志乃がさくらを消した後は、離れにいた志乃に本殿から声を掛けた。


 先代巫女である莉緒も簪をしていたが、簪が話しかけてくるなどと誰にも言わなかった。このことから、簪からの声が聞こえるのは志乃だけのようである。


 今作「白夜蝶夢の章」で、志乃の身体を乗っ取り、帰る振りをさせてさくらを欺いた。もしかすると、今まで志乃が時折頭痛に苦しむ場面があったのは、間接的に志乃に危険を知らせていた為ではないか、と思われる。

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