ジャパリ昔話
けものフレンズ大好き
ジャパリ昔話
むかーしむかし……なのか遠い未来なのか。
ジャパリパークのある所に、お爺さんとお婆さんがいました。
「・・・・・・」
強面のお爺さんは山に芝刈りに、
「はぁ~たいへんたいへん」
色々こじらせて訛りがきついお婆さんは川へ洗濯に行きました。
「ありゃ、なんだろうねぇ?」
お婆さんが洗濯をしていると、虹色の大きな丸い何かがどんぶらこどんぶらこと流れてきました。
「おしょしょしょしょしょしょ!」
お婆さんは直感でそれを家に持ち帰ります。
大きな丸は山から帰ってきた来たお爺さんに長時間凝視されていると、
「た、食べないでくださーい!」
あら不思議、元気なフレンズになりました。
それから数年後、その子はすくすく育ち、かばん太郎と名付けられました。
「ハシビロコウお爺さん、アルパカお婆さん、ぼくはこれから、とっても食い意地がはってみんなを困らせているという猫を退治しに、猫が島に行って来ます」
「それじゃぁこれを持って行くとといいよぉ~」
お婆さんはかばん太郎ちゃんにジャパリ団子と紫色の帽子を渡します。
そしてかばん太郎は家を出てしばらく歩いてると――。
「……わっ!」
「た、食べないでくださーい!」
「お、良い表情いただきました」
オオカミちゃんによく似た犬と出会いました。
「ダイレクトに犬がいないから、こうして私にお鉢が回ってきたんだけど、狼なのに犬と呼ばれるのは正直……。まあそれは置いておいて、そのジャパリ団子を私にくれないかな?」
「はいどうぞ」
「ありがとう、これで私は
オオカミちゃんによく似た犬をつれ、それからしばらく歩いていると――。
「こんにちは、かばん太郎さん」
「あ、はい、こんにちは」
「私はキンシコウ、見ての通りお猿さんです」
「あの、ところでなんでぼくの名前を?」
「・・・・・・」
キンシコウちゃんは少し顔を赤くし「そういえばここでは初対面でしたね」とか「私だけそのままお猿さんなんですね」など、小声で独り言を言います。
「……まあそれはそれとして、そのお腰に付けたジャパリ団子をいただけませんか?」
「はいどうぞ」
「ありがとうございます。……紅茶の良い香りがしますね。それではハンター……ではなく、お供として一緒に戦いましょう!」
「は、はい」
二人のお伴を手に入れたかばん太郎ちゃんがまたしばらく歩いていると――。
「わた~し~は~トキ~の~ような~キジ~♪ ジャパリ~だんごを~さがして~いるの~♪」
「はいどうぞ」
「ありがとう」
かばん太郎ちゃんは手っ取り早くトキちゃんのようなキジに、ジャパリ団子を渡します。
「これって喉にとっても良いらしいのよね。お礼にあなたのお伴になってあげるわ」
「ありがとうございます」
こうして三人のお伴を手に入れたかばん太郎ちゃんは、ついに猫が島に行きます。
猫が島には食い意地のはった猫以外にも、やたら怠けたがる猫や飽きっぽすぎる猫、みんなの交通手段確保のために頑張る猫など、怖ろしい猫たちが沢山います。
しかしお伴の協力で、おしゃべりしたりサッカーしたりすでに飽きて帰っていたりし、ついに猫の王様の元までたどり着きました。
「ふはははは。良く来たねかばん太郎ちゃん!」
「た、食べないで下さいーい!」
「食べないよ!」
猫が島の王様、サーバルちゃんの迫力に、かばん太郎ちゃんは思わずひるんでしまいます。
「君はかなり食い意地のはった猫らしいね。周囲の村のジャパリまんを食べ散らかして、困らせているとか」
「そ、そんことないもん! ちょっとだけだもん!」
「しかもドジで、これ以上ないほど証拠を残していくそうですね」
「ど、ドジじゃないもん!」
「わた~し~は~トキ~の~ような~キジ~♪ きょうも~ジャパリだんごで~♪ ぜっこ~ちょ~♪」
「なにそれなにそれ! 私も食べたい!」
「でもサーバルちゃんは敵だから」
「そんなあ……」
「それじゃあ――」
オオカミちゃんによく似た犬が野性解放します。
キンシコウちゃんとトキちゃんのようなキジもそれに続きます。
『覚悟!』
「うみゃー!?」
「……うう、ジャパリ団子……」
「サーバルちゃん、サーバルちゃん!」
床に突っ伏して苦しそうに寝ていたサーバルちゃんを、かばんちゃんが揺すります。
ここはろっじアリツカ――。
今日は2人が初めて立ち寄った日の翌日でした。
「うみゃー! かばん太郎ちゃん!?」
「かばん太郎?」
「食べさせてー!」
「た、食べないでくださーい!」
「サーバル、カバンヲタベチャダメダヨ」
「……あれ?」
そこでようやくサーバルちゃんは夢を見ていたことに気付きました。
「大丈夫サーバルちゃん?」
「え、ううん。ちょっと夢を見ていただけだよ。それにしても食べたかったなあジャパリ団子……」
「サーバルちゃんは夢の中でも現実でも食いしん坊なんだね」
「えへへーそうかなー?」
サーバルちゃんはちょっと照れながら、知らず知らずのうちにジャパリまんに手を伸ばします。
現実でも夢の中でもあんまり変わらないサーバルちゃんでした。
おしまい
ジャパリ昔話 けものフレンズ大好き @zvonimir1968
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます