第2話【僕は疲れている】

今日も深夜を回っての帰宅。

いつもと変わらない夜。


東京に憧れて上京してみたものの

自分の思い描いていたの都会生活と

まるっきし違い、最近の口癖は、もっぱら


「こんなはずじゃなかったのに」だ。


都会の秒針(リズム)の速さに付いていく事だけに

必死な自分に、純粋な嫌気を感じていた。


「このままじゃ。おかしくなっちまうよ。」


でも、そんな小言は都会の秒針からすると

ただの小洒落たワガママでしかない。


いつもと変わらない夜は

いつもと変わらないものしか

僕に与えないのだろうか。


明日も仕事が早いので直ぐに寝る事にした。


暖かい布団に身体を埋め

「やっと寝れる」幸せを噛み締めた。


睡魔は直ぐにやってきた。


身体中にのし掛かった塊が

ベットの中に優しく落ちていく。


頭の中が綿菓子になったみたいに

フワフワで甘く、愛しい。


目の奥に溜まったものが

じんわりと夢の中に溶けていく。。




ずっとこの時間が続けば


いいのに








すると



「死ね。」と誰か耳元で呟いた。








いつもと変わらない夜。



僕は、いつも通り無視して寝る事にした。


だって、明日も仕事なのだから。

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