第15話 北叟笑むことを探す
してやったりの時に独りでこっそりと微笑むことを指すらしいが、この「北叟笑む」とは中国故事「人間万事塞翁が馬」と同じ故事に由来するらしい。その昔中国の北の辺に住んでいた塞翁の馬が逃げ、駿馬を連れ帰るも、息子が落馬して怪我をする。しかしそのために兵役を免れ死なずに済んだ。これを転じて「塞翁が馬」とは「人間の人生、幸と不幸はうつろいやすく定まらないもの」の意味となった。
さてここで件の翁は「北叟笑む」ことになった訳だ。足を骨折した息子を嘆いたが、戦死という最悪の結果は免れ、その嬉しさの笑みが溢れる。ところが村の戦死者は多かったのだろうから公然と笑みを漏らすことはできず、而して独りこっそりという条件が付加された次第。ちなみにこの「北叟」は「北の辺に住んでいた塞翁」を指すのが通説らしい。うぅむ、深いのう。
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