演劇シンデレラ へいげんちほー公演

柚子屋

開演

むかしむかし あるところに シンデレラという それはそれは かわいそうな娘が いたよ。

「ようこそ演劇シンデレラへ!私はサーバルキャットのシンデレラだよ!」

シンデレラには 意地悪な継母と姉2人が いたよ。

「はっはっはシンデレラ!相変わらず、か細い腕をしているな!」

「わたくし達は出かけて参りますので、あなたは留守番をしておいでなさい」

「……(じーっ)」

シンデレラは 次女の視線が怖いと思ったけど  答えたよ。

「お母様たちはどこに行くの?」

継母は 腕組みをして 嬉しそうに言ったよ。

「今夜、王城で武闘会が開催されるらしい!さぞや強いフレンズが集まる事だろう!もちろん私も参戦するつもりだ!」

「あなたは家の守りを固めるのですわ。主力の留守中に本拠地を攻撃されてはいけませんからね」

「……(じーっ)」

シンデレラは やっぱり次女の視線が怖いと思いつつも 素直に 答えたよ。

「わかった!」

たぶん 分かって ないね。

「うむ!良い返事だ!」

継母も 負けず劣らず 分かって なかったよ。

シンデレラは 立派に武装して出て行く 継母たちを うらやましそうに見送る事しか できなかったよ。

シンデレラは なぜ自分だけ このような

「えーっと、次はなんだっけボス」

……アワワ……

「おまえはバカですか」

「おまえはアホなのですか」

そこに 魔法使いのお婆さん達が 少し早めのタイミングで現れて くれたよ。さすがだね。

「あっ、そうだ!魔法使いたちが来るんだっけ!」

「魔法で綺麗な服を着せてやるのです。魔法使いなので」

「魔法で馬車も出してやるのです。我々は魔法使いなので」

魔法使いたちは シンデレラが セリフを忘れている事を察して 展開を巻いてくれたよ。

「わぁー!すっごーい!」

気が付くと シンデレラは それはそれは 綺麗なドレスを 纏って いたよ。

目の前には 立派な馬車も あったよ。

「しかし覚えておくのですシンデレラ。この魔法には時間制限があるのです」

「覚えておくのですよシンデレラ。夜中の0時を超えたら魔法は解けてしまうのです」

「わかった!」

魔法使いたちは たぶん分かってないと 思ったけど

「まぁいいのです。特別出演なので」

「早く『けーたりんぐ』の料理を食べましょう博士。我々は特別出演なので」

結構 無責任 だったよ。


「よーし!王城に出発ー!!」

シンデレラの 元気な掛け声に 馬車の馬たちも 元気よく 答えたよ。

「アライさんにお任せなのだー!(キコキコキコキコ)」

「はいよー頑張っていきますよー」

シンデレラを乗せた馬車は 王城に向けて 歩く速さとあまり変わらない速度で 出発したよ。



一方 ここは 王城の入口 だよ。

「なにぃ!国王め、私を武闘会場に入れないとはいかなる計略だ!さては私に恐れをなしたな!?」

「だから武闘会じゃなくて舞踏会だって!」

「やばいよ……継母やばいよぉ……」

案の定 継母は 城の門番に 止められているね。

「鎧が重くてもう歩けませんわ……」

「……(じーっ)」

門番たちは 次女の視線が怖いと思いつつも 継母たちの入城を 阻止し続けたよ。



「王子~。今日の舞踏会ではぁ~、ちゃんとカノジョを見つけるんだよ~?」

「あ、はい……」

王城の中では 王子と だらだら寝転がっている王様が 話をしているね。

「早くお嫁さんを貰ってぇ~、王子が王様になってくれたら~、私は一日中ゴロゴロしていられるからさぁ~」

「お嫁さんってそんな、僕は」

「とにかく~そろそろ時間だし~、舞踏会に参加してきなよ~」

ついに 舞踏会の始まる 時間になったよ。

でも

「かばんちゃーん!一緒に踊ろー!」

王子 綺麗に ずっこけたね。

「あの、ラッキーさん?確か僕が会場でシンデレラを目染めるって展開じゃ」

ずっと こんな調子 だよ。アドリブで がんばってね。

「そんな!」

「かばんちゃーん!」

サーバルキャットの ジャンプ力は 最高で3mにも 達するよ。

シンデレラは 舞踏会場を 軽々と飛び越えて 王子の元へ 一気に辿り着いたよ。

「うわぁぁ!食べないでぇ~!」

「だから食べないって!」

かばん。アドリブで なんとかしてね。

「そんなぁ…えーっと……おおなんとうるわしいひめぎみだ。ぜひともわたしとおどってはくれまいかー」

「いいよ!一緒に踊ろう、かばんちゃん!」

シンデレラは 嬉しそうに 答えたよ。

「うん…」

「さぁ踊ろうよ!かばんちゃん!」

「うん……踊ろう!踊ろう、サーバルちゃん!」

かばんとサーバル …アワワ… 王子とシンデレラは 踊ったよ。

それはまるで 魔法のように幸せな時間 だったよ。

でも 幸せな時間は すぐに 終わり。

魔法の解ける0時は もう目の前まで 迫っていたよ。

「シンデレラ、もう帰ってしまうのですか?もう私たちは会えないのですか?」

「えっ?なんで?」


「やっぱりです助手」

「やっぱりでしたね博士」


「えっと、シンデレラは0時になると元の姿に戻ってしまうから……」

王子は シンデレラに シンデレラの設定を 頑張って 説明したよ。

「えー?私はこれからも、かばんちゃんとずっと一緒がいいよ!ずっと一緒にいたいよ!」

「……!」

かばん?

「かばんちゃんは私と一緒じゃ嫌なの?」

王子 まさかの 満面の笑顔。

「僕もサーバルちゃんと……これからもずっと、一緒にいたいな」

かばん……アワ…アワワ……

「やった~!じゃあ結婚しちゃいなよ~二人とも~」

「見事だシンデレラ!武闘会どころか、王城に乗り込んで王子を直接狙うとは!」

「守りのシンデレラが攻撃に転じる作戦。いつもの『さっかー』では『りべろ』と言いましてよ」

「……(じーっ)」

アワ…アワワ……



こうして 王子とシンデレラは 結婚して

次女の視線が怖いという点を除けば

特に問題もなく いつまでも一緒に 幸せに 暮らしたよ。

めでたし めでたし。


おしまい



「サーバルちゃん、次はちゃんとセリフ覚えようね?」

「うみゃ?」

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演劇シンデレラ へいげんちほー公演 柚子屋 @excellecter

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