一日前の流星群


 昨夜が流星群のピークだったと

 朝のニュースが告げていた


 思わず画面にくぎ付けにされるワタシ

 画面にはマイクに応える小さな子供


 憂鬱な気持ちで一日を過ごした後

 自転車に乗って夜の闇へと漕ぎだした


 街の明かりから逃げるように

 悲鳴を上げる車輪の音だけを友として


 空を見上げながら漕ぎ無様に転ぶ

 立ち上がりまた性懲りもなく空を見る


 いつしか周囲には田畑が広がっていた

 雲もなく月もない理想的なシチュエーション


 けれどなかなか星空は泣かない

 既に地球は塵にまみれていないらしい


 見上げる理由が流れ星に会うためなのか

 泣かないためなのかわからなくなってきた


 東の空に朝の兆しが表れた

 止めろ帰れとワタシは呪う


 地球は自分のものだと言いたげな恒星を

 ワタシは見たいわけではない

 大気に焼かれ消え失せる

 微かな塵クズの最期を見届けたいのだ


 こんなワタシを憐れむように

 幻のような傷跡が一瞬空に走った




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る