涙の積分、雨の微分。


 溢れる感情の発露

 感情は質量を持ち

 けれど形をとることなく

 頬を落ちていく


 僕は君の頬に指を伸ばしかけ

 拳をつくり我慢する

 拭ってしまえば表面積が広がり

 すぐに空に溶けてしまうから


 実は嬉しくてごめんね

 ある意味でその涙は

 君と僕が触れあった証拠だから


 その涙を止めることはできない

 その涙を乾かすこともできない


 だから代わりに

 僕も一緒に泣こうと思う

 鏡のように泣こうと思う


 いつか空に落ちた涙は

 雲になり雨になり

 再び僕を濡らすだろう


 その時は空を見上げるよ

 涙の跡を隠すように

 気持ちにそっと蓋をするように

 君が隣にいないなら

 一人で僕は泣きたくないから


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