余興

鳥人間

クイズ大会リハーサル

「では、早速ですが遊園地での催しものの一環としておこなうクイズ大会のリハーサルをするのです」


「わーい!」

「頑張るのだ!」

「うむ!」

「探偵の底力見せますよ!」


「助手」

「なんでしょうか、博士」

「リハーサルをするのはとても良いことなのです」

「ありがとうございます」

「ですが、リハーサルとはいえ、この面子はなんなのですか」


「わーい!」―――ジャングルの狂戦士『コツメカワウソ』

「頑張るのだ!」―――黒い追跡者『アライグマ』

「うむ!」―――平原の脳筋王『ヘラジカ』

「探偵の底力見せますよ!」―――頭アミメ探偵『アミメキリン』


「ああ、手が空いている者を適当に寄せ集めたらこのようになりました」

「嘘だと言ってほしいのですよ、助手。それとなんですか、この狂戦士だの追跡者だのというのは」

「雰囲気づくりの一端として用意してみました」

「三人目のヘラジカの時点で力尽きているのを感じるのですよ、助手」


「おい、まだ始まらないのか?」

「すみません。博士が駄々をこねるもので」

「ハカセはしょーがない子なのだ!」

「とても聞き捨てならない言葉を吐かれていますが、埒があかないのでもうさっさと始めてください」


「では……というわけで、第一問です」

「わーい!」

「ばっちり推理してみせますよ!」

「ちょっと待つのです。待つのです、助手」

「なんでしょうか、博士」

「いろいろとすっ飛ばしすぎなのです。段取りというものをわかっているのですか」

「クイズ大会を始めますわーぱちぱち出場者はこちらの皆さんそれでは早速ですが第一問。はい」

「なに唐突に、やり遂げましたよ博士みたいな顔をしているのですか、助手」


「ねーねー、クイズまだー? クイズまだなのー?」

「すみません、博士がやたらと口をはさむもので」

「ハカセが? もしかして、何か企んでいるのでは……」

「もうとっとと始めてくださいなのです」


「では気を取り直して、第一問。今回のイベントの主役であるかばんは、サーバルとどこの地方で出会ったでしょうか」


「バカにしないでほしいのだ!」―――黒い追跡者『アライグマ』

「ズバリ、さばんなちほーなのだ!」


「…………はぁ。正解です。はぁ」

「ちょ、ちょっと、なんでそんなに残念そうにしているのだー!?」

「私はそういうのを期待していたのでは無いのですよ。なんでいきなり普通に正解しているのですか」

「意味がわからないのだ! 正解して何が悪いのだ!?」

「はぁ……はあああぁー……」


「助手、助手、助手」

「なんでしょうか、博士」

「あまりにも理不尽な物言いに閉口しかけましたが、アライグマは明らかに正論を言っているのです。聞き入れるのですよ、助手」

「では第二問」

「切り替えの早さが、スナネコの物事に飽きる早さをはるかに上回っているのですよ、助手」


「かばんの帽子の中はどうなっているでしょうか」


「簡単なことだ!」―――平原の脳筋王『ヘラジカ』

「このわたしのように、それはそれは立派な角があるに違いない!」


「ざんねーん! 不正解でーす! ヘラジカは期待を裏切らないですねー!」

「な、なんだってー!?」

「あの帽子のなかにそんな角が入るわけがないのですというツッコミよりも、助手のその見たことのないテンションにツッコミをいれたいのです」


「はーい! はいはーい!」―――ジャングルの狂戦士『コツメカワウソ』

「かばんの帽子の中にはたのしーことがいっぱいつまっているんだよー!」


「ざんねーん! 不正解でーす! この問題はカワウソには難しかったかなー?」

「あっれー、おっかしーなー? あははー!」

「今のカワウソの素敵な回答に、先ほどのヘラジカと同じテンションで不正解と言える助手の頭の中がどうなっているのか考えるのが、想像を絶するほど難しいのですよ」


「わかったわ!」―――頭アミメ探偵『アミメキリン』

「帽子と見せかけてあれは髪の毛なのよ!」


「そんなわけないのです。探偵がきいて呆れますね」

「がーん!」

「謎の紹介文のときから思っていましたが、キリンに対して妙に冷たくないですか、助手」


「で、アライグマはどうなのですか。わからないのですか」

「ぐぬぬ……アライさんはわかっているのだ。でも答えちゃいけないのだ! 正解したらパークの危機なのだ!」

「タイミング的にはもう正解を出しても構わないのですが、そういうこともわからないのですね。まったくこれだからアライグマは」

「ええーっ!?」


「助手、助手よ、助手。助手ーっ!」

「聞こえていますよ、博士」

「あまりに理不尽に冷たく突き放したものだから、アライグマは勘違いをしているだけなのです。ちゃんと説明すべきなのですよ」

「では第三問。こちらが最終問題になります」

「あれ、あれ。もしかして、一番冷たく当たられているのは私なのですか」


「コツメカワウソ、ヘラジカ、アミメキリン、アライグマ。このメンバーはどういった理由で集められたでしょうか」

「さっき手が空いている者を集めたと言っていたのは、やっぱり嘘だったのですね、助手」

「いえ、それが正解なのですが」

「えっ」

「おお! さすがハカセだな!」

「ちゃんと話を聞いていて偉いのだ!」

「わーい! すごいなー!」


「出題側で正解を言ってしまった落ち度については置いておくとして、やっぱり嘘だったとは、博士?」

「何の話かわからないですね」

「博士はこの者たちが別の意図で集められたと考えていたからこその発言なのでは?」

「何の話かわからないですね」

「賢くない者を集めたと思ったのでは」

「おいいいい! 助手うううう!! 私が! わざわざ言わないでおいたことを言うやつがあるですか!」


「でもそれは正解では無いのだろう?」

「当たり前なのだ! アライさんはバカじゃないのだ!」

「わーい! たーのしー!」


「都合よく解釈してくれたので助かりましたね、博士」

「私だけに落ち度があるみたいな言い方をしないでください、助手!」


「わかりました!」―――頭アミメ探偵『アミメキリン』

「はい?」

「答えは、みんな何となく灰色っぽい繋がり! ですね!」

「灰色の脳細胞だと自分の色も灰色に映るのでしょうか、博士」

「知らないですよ!」


「なるほど、キリンもまた灰色だったか」

「灰色は奥深いのだ……」

「わーい! はいいろーはいいろー!」

「ふっふっふ、私の推理力ならばこの程度のクイズはなんのその! ちなみにっぽいというのがポイントでして、なぜならアライさんは黒い追跡者で」


「もう完全に収拾がつかなくなっているのですよ! こんな茶番ははやく終わらせるのです、助手!」

おわりつづく

「続かなくていいですから! どこかの最終回みたいにひっそりつづくを仕込まなくていいですから!」


今度こそ本当におわり

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余興 鳥人間 @birdman-x

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