ガラス玉のキセキ

ririto

プロローグ


プルルルル、プルルルル、プルルルル


朝から鳴り響く携帯電話。

画面には友人の名前。

時間は9時。

今日は1限から授業、なんてことも忘れて。


「ぐごごごご…ふごっ」


わたくし、佐伯雪さえきゆきは凄まじいいびきで爆睡しております。



「……うぅ……」


微かに差し込む光の眩しさにわたしは目を開けた。

閉じかける瞼を必死に開きながら携帯で時間を確認すると今は9時半を過ぎたところ。

すでに講義開始から30分以上が過ぎたことを意味している。


「んあああああああ!!」


わたしは叫び声をあげ、ベッドから飛び起きた。

叫び声なら可愛いほうだ。断末魔に訂正しよう。


「ちょ、新学期早々遅刻!?なんで起こしてくれなかったの!電話くらいくれても!」


携帯の画面には虚しく残る友人の着信履歴。

なんと30件。


「おおう…。」


詰んだ。


神様に慈悲という言葉はあるのだろうか…。

わたしはひとり頭を抱えた。

「来週までに言い訳考えとかないと…。」


わたしは肩を落とし、クローゼットの扉を開けた。



この時、神様は寝坊したわたしへの腹癒せか、

わたしの運命をいとも簡単に変えたのでした。



……………




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