第31話 騙し合いのデスク
教室に入ると黒板に自習と大きく書かれていた
「今日、英語の西田先生がお休みだってさ」
前の席のシュンが振り返って言う。
ドタドタドタっとショウマが近づいてくる。
「ワタル! 一緒に勉強しようぜ!」
「お前にとって、自習は休み時間同様だろ?」
ショウマは開き直って
「そうだが?」
と返した。それに畳み掛けるように
「何だワタル。 今日はノリ悪りぃぞ?」
「分かった分かった。 俺の隣にでも座ってろ。シュンもお前がいた方が楽しいだろうしな」
シュンは首を縦に振る。
ショウマが自分の席にある椅子を持ち上げ、俺の隣に置く。
「さて、面子も揃ったことだし、何する?」
ショウマは今にもはしゃぎ出しそうな顔をして、目を光らせた。
「それならさ」
この話し合いの口火を切ったのは意外にもシュンだった。
カバンの中をゴソゴソと漁る。
「コレやろうよ!」
手にしていたのはトランプだった。
「でかした! シュン、お前は本当に気がきく奴だなぁ……」
ショウマがシュンに肩を組み、頭を撫でる。
「何やろうか、ババ抜きだとあまりにもテンプレだしな」
ショウマがニッコニコしながら返答する
「七並べやろうぜ! 七並べ!」
「お前のやりたい事ってどっかおじいちゃんっぽいとこあるよな」
3人考えに考え、俺はピンと来た
「ダウトなんてどうだ?」
「ほう、騙し合いか……。 ワタルにしてはなかなかいいこと言ったな!」
ガハハと笑ったショウマを軽く締める。
「ギブギブ! 始める前に人生からリタイアしちまうから!」
「死に戻りさせてやろうか? あの人気ラノベみたいに!」
俺たちがバカやっている最中、隣から声がかかる。
「私も混ぜてー!」
マキが話を聞いていたようで、席を近づけて来る。
「いいけどよ。 おいワタル。 あんまり手ぇ出すなよ」
「おまっ! その話聞いてたの⁉︎」
鼻の下を擦り、得意げになるショウマは更に語る。
「何でも、毎晩家に呼んでは着せ替え人形みたいにあんなことやこんなk……」
「してねぇよ‼︎」
マキがまた両手で顔を抑える
「毎晩毎晩、恥ずかしい格好ばかりさせられるんです。嫌なのに、弱みを握られて……」
「ふざけんな‼︎ 俺が犯罪者になっちまうだろうが‼︎」
3人の話し合いの中、黙々とシュンはシャッフルをして手札をキッチリ4人分配っていてくれた。
「準備完了。 いつでも始められるよ」
じゃんけんの結果、俺、シュン、マキ、ショウマの順で進むことになった。
ーーあー終わったな〜ほとんど8と6とキングだ。
何度確認しても8が3枚、6が4枚、キングが2枚2が一枚だった。
ーートップバッターが最初からまさかの嘘つきになるとは……
3ターン目、場にあるカードは9枚。6を出して難を逃れようとするも、
「ダウト」
すかさずシュンが宣言する。
10枚分が全て帰ってくる。はあ、と溜息をつく、次はショウマをの番だ。
ショウマがカードを出そうとした時、
ガタンッ!と椅子が倒れる。
「えっ? 何? 何だ?」
1人の男子生徒が辺りを見回し頭を抱えている。まるで、ここに来た時の俺と同じ様に。
その男の名前は確か 三浦マコト と言った様な気がする。
マコトが教室を出て行こうとする。
「おいマコト! 待てよ」
肩を掴み、止めるが
「誰だよオマエ……。 触るなよ……」
と、軽く振りほどかれ、彼は去ってしまった。
タタタっとハナカが駆け寄る。
「ワタル君、今のって……」
どうやらハナカも俺と同じ考えの様だ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます