ショートショート
神無月と稲穂の波
ショートショート
「こっち向けぇい!少年よ!」
「…はい?」
その老人は予備校からの帰宅途中の俺に突然叫んできた。こいつおかしい、と思ったのもつかの間、
「お前は現実に囚われすぎている!もっと夢を見ろ!青春じゃあー!」などと言い始めた。取り敢えずポケットの中のスマホを確認して、絶妙な距離感を保って話しかけてみた。
「…なんか用ですか?道なら案内しますけど。」
すると老人は、「この若造が!道ぐらいわかるわ!わしはお前らに説教をしにきたのだ!お前らはなんでも『コール』などと言って、まともに物事に取り組まん!もっと熱を持て!熱くなるのだー!」と言って走り去っていった。あの足の速さからして、日頃から鍛えているのだろう。
不思議なこともあるものだと思いながら、俺は再び帰路についた。
ショートショート 神無月と稲穂の波 @kmgkmg
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます