番外.設定覚書その3 (※6/10 修正・追加)
【その3 アイテムその他編】
☆単位
・この世界の時間の単位は、地球同様に1年(イヤー)=12ヵ月だが、1月(マンス)は常時30日。また、1日(デイ)=12刻で、1刻(タイム)=120分。1分(ミニット)は地球の1分とほぼ等しく、1分=100拍、つまり1拍(クラップ)は1秒より短め(現地人の感覚ではパチパチと拍手をする際の1回分の長さ)。
・週や曜日は存在しないが、上、中、下旬の考え方はある。一般的な庶民は、旬末か旬頭ごとに休みをとる(つまり月3日休み)のが普通。過酷な労働条件に見えるかもしれないが、その反面、一部の職業を除けば一日の労働時間は6時間程度なのが普通で、余暇の時間はそれなりにある様子。
・錬金機構による正確な時計は存在するが割と高価なので、一部の金持ち以外は持っていない。代わりに町や街では1~数個の時計塔があり、鐘の音で時刻を知らせている(時計塔内に錬金機構式の時計があり管理人がそれを見て鐘を鳴らす方式)。
日付の変更から1刻後を「1点鐘」とし大鐘をひとつ鳴らし、以後半刻ごとに鐘を鳴らして1点鐘半(大鐘と小鐘ひとつ)、2点鐘(大鐘ふたつ)……と数えていく。6点鐘(=正午)のあとは、午後1点鐘(=PM2時)、午後1点鐘半……と鳴らす鐘を1からに戻すのが普通。なお、庶民が3~10分程度の短い時間を計るためには砂時計を使うのが普通だが、これも割と高いので持ってる人は限られる(ちなみに硝子製ではなく、半透明の昆虫の殻を利用したものが一般的)。
・この世界の長さの単位は“プロト”が基準で、1プロト≒1メートル。その下が“ミプロ”で1ミプロ≒5センチ。上は“キプロ”で1キプロ≒2キロメートル。精度はそれほど高くないが、定規や巻尺の類いは普通に売っている。
・重さの単位の基準は“キロン”。1キロン≒1キログラム。その下は“ミロン”で1ミロン≒5グラム。上は“トロン”で、1トロン≒2トンだが、あまり使用されない。
・重さを測るのは、重り+天秤が一般的だが、錬金加工によるバネを使用したバネ秤も都市部の商店などでは用いられている(もちろんお高め)。
・容積の単位は、1プロト立方を基準とした“プロッター”があるが、あまり使用されない。むしろ「1キロン分の真水が入る容積」=“キロッター”の方が、庶民の暮らしには身近。升なども1キロッター升、半キロッター升などが(主に商売用に)流通している。
※裏話をすると、HMFL世界の度量衡が地球の単位と比して妙にキリが良い(たとえば1プロト=1メートル)のは、「元となるゲームでそう決められていたから」。ゲーム制作側は、「異世界の匂いを醸しつつ、現代日本人にもわかりやすくする」ためにこれらの単位をこねくりあげた。当然、HMFL世界が“こう”なったことには神々からの影響がある。
◇アイテム
元々がゲーム『HMFL』を再現することを目的に創られた世界なので、ゲーム中で特に言及されているものを除くと、現実の地球と似ている文物も多い(これは、この箱庭世界を作ったのが地球の神々だからという理由もある)。
・回復薬
負傷した際に、その負傷部位に使用する薬品。患部に塗る(ぶっかける)タイプと飲み薬タイプの2タイプがあり、狩猟士は主に後者を使用する。地球でも、中世から近現代にかけて、いわゆる“傷薬”が徐々に発達していったが、それらはせいぜい「負傷部位を消毒し、可能な限り患部を保護・養生する」程度の効能だが、この世界の回復薬は、それこそゲームのHP回復ポーションじみた効果を発揮する──特に狩猟士に対しては(逆に一般人に対しては、そこまで魔法じみた効果はない)。これは、魔術の系譜を引く錬金術の産物だからこそであり、高品質な回復薬は錬金術士にしか作れない(逆に低品質のものは“薬草調合”のスキルを持つ狩猟士なら作成可能)。狩猟士協会の本部・支部では、各種回復薬が全国一律の定価で販売されている。ちなみに塗布タイプは回復量・即効性が高いのに対し、飲用タイプは回復力増進効果がしばらく(数分間)続くので、継続的なダメージを受けるような状況では、とても効果的。また、負傷だけでなく毒・病などによる体力の減少に対しても飲用タイプは効果がある。
主な種類としては、小回復薬、中回復薬、大回復薬、超回復薬、蘇生薬(死者ではなく仮死・昏睡状態からの復帰)、回復香(お香のように周囲に回復効果のあるミストを10秒ほど散布する。集団用)、大回復香など。このうち、“薬草調合”のスキルで作れるのは、塗布タイプの小回復薬と飲用タイプの小と中まで。
・爆裂弾
現代地球で言う手榴弾に相当する消耗品。硬いものに勢いよく叩きつけることで爆発し、周囲にダメージを与える。ボタンを押して数秒後に爆発する時限式のものもあるが高価(通常品の3倍)。いちばん初歩的な爆裂弾(小)の材料にはバクレツダケが用いられ、このキノコの名前の由来にもなっている。そのほか、(中)や(大)があるが、名称に伴い、大きさと威力が増す。(小)は、夏みかんほどの大きさで、バクレツダケ10個が一気に爆発した程度の威力。ちなみに、爆裂“茸”であって“草”ではないのだが、なぜか“薬草調合”のスキルで(小)は作成可能(時限式は不可)。
また、直接ダメージを与えない“閃光弾”や“騒乱弾”もあり、地球のスタングレネード的な使い方をされる。
・マーキング玉
標的に投げ当てることで、特殊な匂いをつけ追跡を容易にする道具。姿を見失っても、“追跡”スキル持ちかアシスタントがいれば、確実に後を追うことができるようになる(※マーキングしていないと追跡成功率が下がる)。効果時間は1時間程度。
・氷蔵庫
冷蔵庫互換の錬金機構。断熱性の高い材質の箱と氷結石を組み合わせによる、0~5度程度に保たれたクーラーボックスのような代物。氷結石は高温に長時間さらされない限り数十年単位で冷気を発し続けるため、値段はそのものはそこそこ高いが、維持費がほとんどかからないので経済的とも言える。地方ならともかく町・街では、ちょっと気の利いた飲食店や庶民でも懐に多少余裕のある家庭なら小型~中型の氷蔵庫を持っているのが普通。
・石載焜炉
燃焼石は、それ単体でもいくらか熱(40度前後)を発しているが、300度以上の熱を加えると、反応して数時間高温を発し続ける性質がある。これを利用して、いわば使い捨てガスボンベの代わりに燃焼石を用いたカセットコンロが、この石載焜炉である。料理の熱源としては、庶民のあいだではかまどや薪式オーブンが使用されているが、王城や貴族の屋敷、大規模な飲食店などでは、徐々に火力調整の容易なこの石載焜炉が普及しつつある。
・蛍光ランプ
蝋燭の火を用いたカンテラや、油を燃やす通常のランプとともに、庶民の間で普及している照明器具。地球の蛍光灯ではなく、文字通り“ホタルの発光現象”を用いるものだが、この世界のホタル(蛍光虫)は、寒冷地や冬の一時期を除いて年中生存&発光しているので入手が比較的容易(しかも光度も高い)。毎日、甘水(蜂蜜を水で薄め、いくつかの薬を溶かしたもの)を補給することでおおよそ1ヵ月ほど生き、暗くなると自然に光り出す性質を持つ。ただし、要は「虫を複数詰め込んで飼っている半透明な虫かご」なので、人によっては嫌悪感を抱くことも。補充用の光虫は雑貨店で売っているが、ランプを持っていくと詰め替えサービスをしてくれる店もある(ちなみに回収した蛍光虫の死骸は釣り餌などに再利用される)。
このほか、輝晶石の発光を利用した晶光灯という錬金機構もあるが、こちらは原料となる輝晶石がかなり高価なので、貴族・富豪など一部でしか用いられない。
・退飢丸
狩猟士協会御用達の携帯食糧。炒った御穀を主体に胡桃、胡麻、南瓜種、葛粉などを混ぜて、僅かな塩と濃縮蜂蜜を絡めてピンポン玉大に固めた、カロリーバー(というか兵糧丸?)のような代物。
・腰帯雑嚢(ベルトポーチ)
読んで字の如く、腰帯(ベルト)とポーチを組み合わせた収納具。おもに狩猟士や軍人、旅商人が用いる。通常は、ベルトの前後左右に4~8程度の丈夫な小さめの袋が取り付けられ、財布などの小物を入れておけるようになっているようになっている。袋の口を開くには、ベルト内側の特定部位を押さえる必要があるため、スリなどの被害には遭いにくい。
◇武器
以下、HMFL世界における、狩猟士が扱う武器14種+αについて解説する。
※性能評価は、A(優秀)、B(良好)、C(普通)、D(イマイチ)、E(低め)
※複数の武器種を使う者も多いので使用率の合計は10割にはなっていない
◆
(単発攻撃力:D 連続攻撃速度:A 攻撃範囲:E 移動/回避:A)
刃渡り0.5プロト前後の短めの刀剣類の総称(片刃のものも両刃のものもある)。その名の通り、片手で扱うことを前提で作られており、初心者でも扱いやすい……というのはゲームの話。実際には、リーヴが作中で言っている通り、刃物である以上、扱うにはある程度の慣れが必要。強いて言えば「両手剣や刀よりは初心者向け」。通常は利き手に片手剣、反対の手に
◆
(単発攻撃力:A 連続攻撃速度:D 攻撃範囲:D 移動/回避:B)
刃渡り1~1.5プロト位の分厚く長大な剣を指す。両手でぶん回し、「斬る」というより「叩き切る」感じ。まともに扱うには常人離れした膂力が必要なため、愛用者の99%以上が素質持ちである(技巧的な扱いやすさ自体は中程度)。両手で扱うため盾は持てないが、両手剣自体で敵の攻撃を受け止め、防ぐことも可能(それを行うには相応の技量が必要だが)。なお、一般に“狩猟士と言えば両手剣”というイメージが流布しているが、実際の使用者は全体の3割弱程度。これは、高価な割に破損しやすく、修繕費も高くつくため、コスパが良くないのが原因。
◆
(単発攻撃力:B 連続攻撃速度:B 攻撃範囲:D 移動/回避:A)
太刀とも呼ばれる刃渡り0.8~1プロト程度の細めの片刃の刃物。基本的には両手で構えて扱うので、軽めのものなら非タレントでも装備可能。両手剣とは対照的に「斬る」ことに特化した武器。そのぶん、使いこなすための難度はかなり高い。武器自体が華奢で破損しやすいので、両手剣と異なり盾代わりにすることは不可能(そんなことしたら折れる)。つまり敵の攻撃は回避する(もしくは受け流す)しかなく、その意味でも使う者の技巧が問われる。さらに言うと、両手剣以上に高価でコスパが悪いため、愛用者は狩猟士全体の1割以下。
◆
(単発攻撃力:A 連続攻撃速度:C 攻撃範囲:D 移動/回避:B)
刃渡り0.3~0.5プロト程度の分厚く重い刃を、1プロト前後の柄の先端に装着した武器。両手剣同様「叩き切る」ための武器だが、遠心力により両手剣より速く振り回すことができる(が、そのぶん精密な動きは不得手)。与ダメージのみなら両手剣を上回る可能性があるものの、敵の攻撃を受け止めるのには不向きで、刀のように素早く避けることも難しい……と、防御面で不安の残る武器。このため、刀以上に使い手が少ない。
◆
(単発攻撃力:B 連続攻撃速度:B 攻撃範囲:C 移動/回避:A)
形状的には「棍の先端に片手剣を装着したような長柄武器」。日本で言う“槍”に加えて薙刀・長巻の類いも含まれる。両手で持ち、突く・切る・払うの3動作が可能な便利な武器で、それでいて両手剣や刀などより習熟が容易。間合いも広く、受け流しや回避もしやすい……と総合的に見て非常に優れた武器。強いて欠点を挙げると、攻撃力自体は両手剣等よりやや劣り、攻撃を受け止めることができない点か。愛用者は狩猟士の2割強で、非タレントも含まれる。
◆
(単発攻撃力:D 連続攻撃速度:D 攻撃範囲:C 移動/回避:C)
長さ2~2.5プロト程度の金属性の細長い円錐の根元に柄を着けたような武器。別名「突撃槍」とも言い、軽槍と異なり“突く”ことしかできない。重装をまとい、利き手に
※なお、防御面より攻撃面を重視し、大盾の代りに小盾を持ち、重槍を利き手に構える「重装突撃兵スタイル」というのもある。その場合は攻撃力・攻撃速度はCとなる。
◆
(単発攻撃力:D 連続攻撃速度:A 攻撃範囲:E 移動/回避:A)
長さ0.5プロト前後の丈夫な柄の先端部に、堅い
◆
(単発攻撃力:A 連続攻撃速度:D 攻撃範囲:D 移動/回避:D)
1プロト弱の太い柄の先端に重さ30~50キロン程度の錘を装着した、対象を「叩き潰す」ことに特化した大型鈍器。両手で構えるものの、その重さゆえに素質持ちでないと実戦で運用するのは困難。動きが鈍くなり、まともに防御もできない……と、斧同様の欠点を抱えているが、それを補ってあまりある破壊力が魅力。打槌と大槌の使用者を合わせると狩猟士全体の4割近くに及ぶ。
◆
(単発攻撃力:E 連続攻撃速度:B 攻撃範囲:C 移動/回避:A)
長さ1.5~2プロト位の丈夫な“棒”。材質は木製・金属製・骨製など様々。両手で扱う打撃武器で、長さの割に軽量なので軽槍以上に取り回しがよく、動きも鈍らず、非タレントの狩猟士にもおすすめ。そのぶん攻撃力は最低クラスだが、弓・弩などの飛び道具使いのサブウェポンとしては手ごろ。なお、熟練した棍使いであれば、的確な連続攻撃と流れるような受け流しを駆使して、大型獣や巨獣を討伐することも決して不可能ではない。
◆
(単発攻撃力:E 連続攻撃速度:C 攻撃範囲:C 移動/回避:B)
0.3~0.5プロト前後の堅い取っ手部分に、全長2~3プロト前後の鞭部分が接続された武器。鞭による打撃攻撃に加え、標的の四肢などに絡み付けて、その名の通り動きを拘束/制限することを主目的とする。運用はやや特殊で、片手で振るいつつ、対象拘束時は両手で対処する。使いこなすのが非常に難しいうえ、
◆
(単発攻撃力:D 連続攻撃速度:C 攻撃範囲:B 移動/回避:A)
全長0.6~0.8プロト程度の
◆
(単発攻撃力:B 連続攻撃速度:D 攻撃範囲:A 移動/回避:B)
全長1.2プロト~1.5プロト程度の大きさの
◆
(単発攻撃力:C 連続攻撃速度:E 攻撃範囲:B 移動/回避:B)
短弓と同程度の大きさの合成弓を横にして、発射装置(弓床)に組み込んだ射撃武器。矢ではなく
◆
(単発攻撃力:B 連続攻撃速度:E 攻撃範囲:A 移動/回避:E)
機構的には軽弩とほぼ一緒だが、より大型(弓部分が全長1.5~2プロト、弓床部は1.2プロト程度)になったもの。重くて大きいため取り回しに難があり、非タレントでは狩猟での実用は困難(固定砲台としてなら一応使用は可能)。セット時には足でレバーをキックするので連射速度も軽弩に劣る。それらのデメリットはあるものの、攻撃力や射程の面では非常に優れており、特に飛行する巨獣や怪獣と対峙する際には切り札ともなり得る。なお、こちらも弩弾を使うが、ふた回り以上大きいので軽弩に流用は不可(逆に軽弩の弾を弩砲で使用することは一応可能)。
・
獣人用の武器で、おもに立猫族と小猿族が近接戦用に使用する。攻撃種別は切断と貫通。与ダメージは低めだが、立ち回りが速いので、標的を攻撃して適度にヘイトを稼ぎ、気を引いては逃げるヒット&アウェイに向いている。
・
獣人用の武器で、おもに狗頭族と小猿族が使用する。攻撃種別は貫通と打撃。攻撃速度は非常に遅いが、与ダメージは(獣人用武器としては)高め。ダメージソースとしての補佐や、足にダメージを入れて転ばせるなどの役割を担う。
※人間が使うピッケルもあるが、こちらは武器ではなく採掘用道具
・
スリングショットとも呼ばれる遠隔攻撃可能な獣人用の武器。小猿族が好んで使う(他も使用は可能)。射程は短弓よりもさらに短く、撃ち出すのは主として適当な小石なのでダメージはあまり期待できないが、顔面(特に目)を狙うことで嫌がらせして標的の気を引くことは可能。また、用意しておいた特殊な弾を撃ち出して、目潰しやくしゃみ、痒みなどの状態異常を引き起こすことも。
※上記3種のほかにも支援役は、その体格に合わせた大きさの刀剣や槌などが装備可能。ただし槍や棍などの長柄武器はあまり好まない傾向がある。
・
狩猟用補助武器で、狩猟士・支援役の両方が使用。狩猟士用は0.3プロト、支援役用はその半分くらいの“く”の字型の投擲具で、標的に対して投げることで相手の注意を引くことができる。キチンと当たれば、多少のダメージも与えられるので、飛行する普通種の獲物を撃ち落すのにも使える。
・
直径1~2ミプロほどのふたつの錘を丈夫な紐(もしくは鋼糸)でつないだ狩猟用補助武器(イメージ的には大型化したアメリカンクラッカー)。ブーメラン同様、飛行する獲物に投げて絡み付けて落とすのが主な用途だが、巧く使えば小さめの大型種にも効果がある。練達者は、獲物の足に絡み付けて拘束効果を与えることも可能。
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