第26話 マスターズ・ホリディ(狩猟士の休息)

 さて、現代日本にいた頃からの習慣に引きずられ、自分の狩り3日・教官稼業3日・休養日1という(この世界の基準で見ると気が狂ったような)ペースで日々を過ごしていたリーヴですが、その週休1日制に「待った」をかけたのは、狗頭族コボルケロのお手柄と言えるでしょう。


 「どう考えてもマスターは働き過ぎデス!!」

 「? いや、確かに週休2日が世間のトレンドかもしれんが、協会で初心者向けの教官やってる3日間は、あんまり働いてるという気がしないし……」

 なにげに、学校の教師や塾の講師などを敵に回しそうなセリフをリーヴはのたまいます。

 ……というか、そもそもこの世界の狩猟士の場合は、1日狩りに出たら1~3日休むというのが普通あたりまえなのですが。

 「駄目デス。座学だけ教えているならまだしも、マスターはどちらかというと実技指導、それも狩場げんばに連れて行ってどうこうするタイプじゃないデスか!」

 いくら初心者~下級向けの狩場とは言え、そのぶん生徒おしえごの安全にも気を使っているのだから、精神的な疲労は溜まっているはずだ──とケロは主張します。

 これはリーヴも否定できず、仕方なく、3日狩り・1日休養・3日教官・1日休養と、(3+1)単位で働くことに、渋々同意しました。

 ──というか、そもそも、この世界には7日で1週間とする“週”や“曜日”の概念自体が存在しないので、4・4の8日間セットで暮らしても、別段不都合はありません。“週休〇日”などと考えていたのは、あくまでリーヴの“牧瀬双葉”としての長年の習慣に由来するものでしょう。


 こうして、渋々ながら休みを増やすことに同意したリーヴ。そんな、彼女の休息日の過ごし方を、ひとつ観察してみましょうか。


  * * *  


 午前3点鐘──地球で言う朝6時頃に鳴らされる、時計塔の鐘の音で目が覚める。

 現代日本で言うなら早起きの部類に入ると思うが、照明器具の発達していないこの世界においては、おおよそ平均的な起床時間と言えるだろう。


 ちなみに、今、私が住んでいるのは、以前な滞在していた宿屋の裏手の通りにある長屋アパートの一角だ。

 長屋と言っても、時代劇などから連想する「六畳一間&土間・竈付き」程度のせせこましい代物ではなく(いや、それに近い長屋もあるみたいだが)、3プロト四方の寝室兼書斎と、それよりやや小さいダイニング兼用のリビング、大女の私がかろうじて物にぶつからずに動ける小さめのキッチンが縦に並んで配置されている。京都の街並で有名な「ウナギの寝床」タイプの間取りだな、うん。

 狩猟士向けの物件で、寝室の押入れには鍵のかかる丈夫なチェストがあるし、ある程度の数の武具も保管できるようになっている。

 さらに、台所の横にはドラム缶風呂ならぬ大樽風呂が備え付けられたスペースもあるのが個人的には高得点だ。

 (ゆったりできる広い銭湯も悪くないけど、気楽にくつろげる家風呂は、やっぱ欲しいからなぁ)

 その分家賃は少々お高いし、風呂掃除などのメンテにも手間はかかるが、現在の住環境について、私はおおよそ満足していた。


 位置ロケーション的には、町の中央大広場からも比較的近いので、時計塔の鐘の音もよく聞こえる。

 元より寝起きの悪いタイプでもないので、3度目の鐘が鳴り終わると同時に潔く寝台ベッドから降りて床の上に立ち、ぐぐぅーっと大きく伸びをする。

 そのまま木製の床の上に腰を下ろして、ゆっくりと柔軟体操ストレッチを始める。今日は身体を休めるための完全休養オフの日だが、これくらいはいいだろう。


 日本に自前の身体で暮らしていたころからの習慣なので手慣れたもの……と言いたいところだが、この姿リーヴになった当初は、やはり色々勝手が違って戸惑ったものだ。

 具体的にはボディバランス。胸に余分之重量カウンターウェイトが付いたため、常に前に引っ張られるような感覚と、普通に下を向いても爪先が見えないと言う事実には、未だに違和感を覚えることがあるくらいだ。

 もっとも、この身体は素質タレント持ちかつ現役狩猟士なせいか、大きめのバストも大胸筋の占める割合がかなり多く、パッと見に反してあまり柔らかくはないので、激しく動いてもさほど邪魔にならないのは助かっているが。

 反面、やはり性別的には女性(Female)のせいか、柔軟性の面では特に優れており、相撲取りで言う股割すら軽々と実行できるというのは、なかなか気分がよい。

 (牧瀬双葉だった頃は、体が堅かったからなぁ)

 具体的に言うと、立位体前屈で掌を地面につけられないくらい。中指の先が地面にかすれば御の字という体たらくだった。

 柔軟性が高いというのは狩猟士にとっても結構重要な資質で、逆に体が堅いと、無理な体勢で武器を振るったり、巨獣にふっとばされて受け身をとったりする際に、余計なダメージを受けてしまうのだ。

 え? 「真っ当な姿勢で攻撃し、敵の攻撃は躱せばいい」?

 ──うん、常にそれができたなら理想だな! でも、実際の狩猟では、予期せぬ事態は頻繁に起こるし、無理を蹴飛ばして道理を引っ込めさせないといけないケースも確実に存在するんだ。


 柔軟が終わって、リビングに顔を出すと、ちょうどそこではアシスタントのケロが、美味しそうな匂いを漂わせた朝食をテーブルに並べている最中だった。

 「あ、マスター! ちょうど良かったデス。そろそろ朝ご飯が出来マシたので、呼びに行くところデシた」

 「ああ、いつもありがとう」

 軽く礼を言ってから食卓につく。

 直径1プロト半ほどの木製円卓ラウンドテーブルの上には、表通りの麺麭パン屋で買ったとおぼしき黒麦パンが掌くらいの厚さにカットして、木皿の上に積まれている。

 昨日買ったばかりなので、まだ幾分柔らかく、黒麦の香ばしい香りが食欲をそそる。

 「このあいだ採集したカムイバチのハチミツがまだ残ってマスけど、どうされマスか?」

 「うむ、是非貰おうか」

 市場価格なら拳程の大きさの瓶ひとつで大人4人がひと晩飲み食いするほどの金額が飛ぶ蜂蜜も、狩猟士なら仕事の片手間に採って気軽に自家消費できるのが利点だな。

 パンにたっぷり蜂蜜を塗り付けながら、そんなことを考える。

 「副食おかずは昨晩の残り物流用なんデスけど……」

 少し申し訳なさそうにケロが持って来た大皿には、今の私の小指ほどの大きさにブツ切りにされたベーコンと菫葉菜バイオレットリーフの炒め物がこんもり盛られている。

 「いや、構わんよ。ボアズ肉のベーコンは美味いから食べ飽きないしな」

 これはケロを労うためだけでなく半分以上は本音で、日本にいた頃から、ソーセージやハムなんかより圧倒的にベーコンが好きだったのだ。

 この身体リーヴになってから、味覚や食の嗜好も多少は変化したが、それでもボアズ肉のベーコンは(特別なご馳走類を除けば)私にとって好物のひとつであることに変わりはない。

 ちなみに菫葉菜というのは、現代地球で言う小松菜に近い味&食感の野菜だが、例によって小松菜の倍程大きく、葉の色もムラサキキャベツのように鮮やかな(ただし赤より青に近い)紫色をしている。

 汎用雑草フラックスと違って人里でも普通に栽培できるので、この町の外周にもいくつか畑があったはずだ。育てやすい反面、食用以外の利用価値はほとんどない。せいぜい絞り汁で紫の染料が作れるくらいだが、生の葉と違ってあまり綺麗な色にならないので、そちらの需要は低いらしい。

 ネブランジェ(橙色の柑橘系果物の一種だ)の絞り汁を入れた水を飲みながら、黒麺麭1斤分と、牧瀬双葉の頃ならそれだけで夕食として満腹になったであろう量の炒め物をペロリと平らげ、私は「ご馳走様」の言葉とともに席を立った。


 「マスター、今日の休みはどうされるおつもりデスか?」

 「そうだな……そろそろ金も貯まったから、武器屋に手ごろな片手剣グラディウスの出物がないか見に行ってみるつもりだ」

 熟練度というか得意さという点で言うなら、リーヴとしては拘束鞭バインドウィップの方がハンマー並みに使いやすいんだが、アレはどちらかというと徒党での支援役としての運用に主眼が置かれている武器だからな。

 この世界に来てからは、臨時徒党程度ならともかく基本は単独ソロで狩りに出かけることが多いので、切断系武器としては一番慣れている片手剣のそれなりの品質のものを手に入れておくべきだろう。

 「そのほかには雑貨屋や食料品屋をいくつか回ったり、適当に町中をブラブラしてから戻る。昼飯は外で食べるつもりだからいらないぞ。お前も、皿洗いと部屋の掃除が済んだら、今日はのんびりしてるといい」

 私の申告する「本日の予定」を聞いて、ケロは小首を傾げたあと、おずおずと進言してくる。

 「そのぅ、できたら服屋さんも回ってほしいデス。下着とか襯衣シャツが大分くたびれてきてマスから……」

 あー、そういや、そうか。

 この世界に来た当初に買った以外にも、一応服は2度ほど買い足したんだが、狩猟士の場合、血糊とか動きとかで衣服には結構負担がかかるし、消耗速度も早くなるわな。


 「わかった。覚えておこう……そう言えば、ケロの分はいいのか?」

 この世界の獣人種は、普段はだいたい半袖シャツかチョッキみたいな感じの上着を着ていることが多い。ボトムを履かないのは、尻尾があって邪魔だからだろう。中には、“俺”が以前雇っていたカラバやチーチーみたく、ミニスカや半ズボンを履いたお洒落さんな獣人もたまにいるんだが。

 (カラバに至っては、ブーツを履いて帽子まで被っていたからなぁ)

 かつての支援役アシスタントたちのことを思い出し、ほんの少し寂しさの混じった懐かしさが胸に湧き上がるが、あえて無視する。

 「あ、オラの分はいいデス。代わりにマスターが廃棄されるお古の服をもらえるなら、自分で仕立て直しマスから」

 ケロからは意外な答えが返ってきた。

 「──それでいいのか? 獣人種の普段着を買うくらいの余裕は全然あるぞ?」

 「いえ、オラとしては、自分で作る方が意匠デザインとか色々好きにできて助かるんデス」

 「そ、そうか……」

 こいつが狗頭族にしては破格に手先が器用なのは知ってたが、まさか裁縫までできるとは……。

 (ゲームでは、その辺りの細かい事情は触れられてなかったからなー)

 そもそも、アシスタントどころかプレイヤーキャラの普段着(というかアンダーウェア)すら、10種類のデザインが用意されてるだけだったし。

 パーティドレスやブレザーっぽい形状の代物も存在したけど、アレも区分上は“防具”扱いで、しっかり素材と結構な加工費を要求された──まぁ、その分、防御力もそれなりにあったんだが。

 ふむ。せっかくなので、“そういう服”がこの世界にもあるのか、防具屋あたりも覗いてみようか。


 「では、留守は任せる。鍵は持ってるから、お前も気が向いたら出かけて構わないぞ」

 寝室で適当な本(この地方の民話や伝承が記されたもの)を読んで、4点鐘(≒8時)の鐘が鳴るまで時間を潰してから、ケロにそう言い残し、長屋を出てまずは広場へと向かう。


 其処から路地に入り、すっかり通い慣れた……とは言わないまでも、迷わず迅速に辿り着けるようになったマーガスさんの店へと足を運ぶ。

 最初に服屋を選んだのは、後半に回すと絶対忘れる(もしくは面倒になって行くのを止める)予感がしたからだ。

 「マダム、お久しぶりです」

 「おんや、リーヴちゃんじゃないか。元気にしてたかい?」

 店主のマーガスさんに挨拶して、本日の要件を伝えて適当なものを見繕ってもらう。

 「それにしても、聞いたよ。アンタ、上級狩猟士なんだって? それなのに、わざわざこんな場末の小さな服屋に来るなんて珍しいねぇ」

 マーガスさんいわく、駆け出し時代ならともかく、下級以上でコンスタント稼いでいる狩猟士は、大概は表通りの大きな洋品店ブティックを利用するようになるのが普通なそうだ。

 「ウチとしては有り難い話だけどさぁ。大丈夫かい、アンタ、同じ狩猟士仲間にナメられたりしないかい?」

 うーん、考えたこともなかったな。

 元々、日本の牧瀬双葉時代から、着る物に関する拘りはゼロに近かったし(さすがに社会人としてTPOと清潔さくらいは注意してたけど)、リーヴとして転生した今も、着飾ってうれしいルックスでもないからなぁ。

 「──武骨者ですから、着る物にかける金があれば、武器防具しょうばいどうぐに注ぎ込みたい性質タチなので」

 「おやおや、若い子が何言ってんのさ。でもまぁ、アンタらしいっちゃアンタらしいけどねぇ」

 やれやれと肩をすくめつつも、マーガスさんは予算も質も(そして驚いたことにデザイン面で私の好みにまでも)相応に合致した、数着の商品を渡してくれた。

 「サイズは合ってると思うけど、もし窮屈なトコロがあれば、多少の改造なら無料で請け負ってあげるよ」

 代価を払い、袋に入れた商品一式を受け取った時、マーガスさんはそんな気遣いまでしてくれた。

 「いえ、大丈夫です。ウチのアシスタントが裁縫もそれなりにこなせるみたいですから」


  * * *  


 服屋を出たリーヴは、家を出る前にケロに告げた通り、食器や小間物などの類いを扱っている雑貨店、カクシジカ付近では珍しい香辛料スパイスや御茶などを購入できる高級食料品店などを回ってみました。

 数軒回って望みのものを手に入れたところで、そろそろ正午おひるの6点鐘の鐘が鳴る頃合いになったので、中央広場まで戻って適当な屋台で昼飯になりそうな食物ものを買い求めます。

 「ふむ……ケランさんのところの串焼きは安定した美味さだが、先月からやってるこの新しい屋台みせのケバブっぽい焼き物も、なかなかな味わい深い」

 日本にいた頃の双葉リーヴの、ゲームと漫画収集以外の数少ない趣味が、こういった屋台のいわゆるB級グルメの食べ歩きでしたから、よい機会だとばかりに立ち並んだ屋台を喜々としてハシゴしているようです。

 “素質持ち”の身体はカロリー消費量が高いので、別段これくらいでは太ったりはしないでしょうが……これではまるっきり縁日ではしゃぐ子供と一緒ですね。

 彼女リーヴのことを腕利きの上級狩猟士にして狩りの師として尊敬しているロォズやレオナルドたちが見たら、何と言うことやら。

 ほんの一瞬、因果に干渉して、ロォズ達やレオ達の徒党をこの場に呼び寄せてみようかという悪戯心が湧きましたが、さすがに自重しました。


 さて、そんなわたくしの思惑などは露知らず、広場に出店していた全12軒の屋台を一通り制覇し、気持ち的にもお腹的にも満足したらしいリーヴは、本日の外出の主目的である武器屋へと向かいました。

 「ゴーバン殿、片手剣をいくつか見せてもらってよいだろうか?」

 ロォズたちを教導する際に安物の武器を購入した大型店舗……ではなく、少し小さめの個人商店に顔を出したようです。

 実はこの店、店主が元刀鍛冶で、事故で片手を悪くしたために武器屋に転職したという経歴を持っており、狩猟士や兵士の間では、店主の目利きのおかげで扱う商品の質が良いことで知られています。

 もっとも、品質が高いものはお値段もそれなりに高くなるのが世の常ですから、顧客になれるのは狩猟士なら下級のランク20以上、兵士なら小隊長以上が分相応でしょうが。

 「お? リーヴの嬢ちゃん、ハンマーだけでなく片手剣も使えるのか?」

 大柄な体といかつい容貌、口元にはカイゼル髭をたくわえた、いかにも「武器屋の親父」といった風情の中年男性ゴーバン氏が、カウンターの向こうで売り物を磨く手を休めて、興味深げな視線をリーヴに投げかけます。

 「ああ、さすがに使い慣れたハンマーには及びないが、一応切断系武器の中では一番得意だと思う」

 リーヴは何でもないように言ってますが、コレが大半の狩猟士からすると如何に非常識な技量ことかは、皆さんももうおわかりでしょう。

 「待てまて待て。ひょっとして嬢ちゃん、狩猟用のあらゆる武器が使えるとか言わんだろうな?」

 案の定、ゴーバン氏が目を見開いて食いつきます。

 「? 全部と言っていいのかはわからないが、切断系4種、貫通系2種、打撃系4種に、加えて飛び道具4種類くらいなら、人並み程度には扱えるつもりだが……」

 「つまり全種じゃねーか!」

 「いや、爪系とかパチンコ系は使ったことはないし」

 「それは獣人の支援役アシスタント用の武器だろうがよ」

 「ボーラやブーメランの扱いも苦手だな」

 「どっちも武器って言うより狩猟補助道具の扱いだっつーの」

 ツッコミ疲れたのかゴーバン氏がガックリうなだれます。

 「あー、もういい、わかった。ほら、片手剣の出物はこっちだ」

 深く考えることを止めたのか、ゴーバン氏は悟りを開いた聖者のような表情で、リーヴを陳列棚の一角まで導きました。

 「! これは……もしかして「真・錬鋼製剣鉈」か!?」

 並べられたうちのひとつがリーヴの目を惹いたようです。

 「いや、その一段下の「錬鋼製剣鉈」だ」

 剣鉈とは呼んで字の如く“剣みたいな形をしたなた”のことです。

 より正確には両刃の“剣”と言うよりは片刃の“刀”と言う方が近いのですが、山歩きなどで使う一般的な鉈(腰鉈とも言います)のように先が平たくなっておらず、出刃包丁のように先端部にも刃があり、突き刺しやすい形状なのが特長です。

 鉈は普通、藪を切り払ったり、薪を割ったりするのに使う“道具”ですが、剣鉈に限っていえば、(少なくともこの世界に於いては)“敵”や“獲物”と相対するための“武器”という認識が強くなります。

 それらの剣鉈のなかでも、リーヴが口にした「真・錬鋼製剣鉈」というのは鉄製剣鉈のひとつの頂点とも言える代物で、下級の上から上級なりたてくらいのランクの狩猟士に広く愛用されています。

 希少な錬金鋼を刃のみならず柄の部分にまでふんだんに使用し、肉厚で頑丈、それでいて切れ味も極上かつ取り回しも容易という、“巨獣を斬る刃物”としては非常に理想的な性能を持った片手剣なのですが、当然その分値もはります。

 そして、“真”の字のつかない方は、それよりワンランク性能は落ちますが、それでもかなりお高い(しかし値段に見合った優秀な)武器と言えるでしょう。

 「5千ジェニから1割引か……欲しいが予算を少しオーバーするな」

 しばし店先で悩んでいたリーヴですが、その使い勝手の良さを(ゲーム中で)嫌と言うほど知っているだけあって、思い切って購入を決めたようです。

 店主ゴーバンの「毎度あり~」という声に送られて、「良い買い物をした」と、ホクホク顔で自宅へと向かうリーヴなのでした。


 ──ちなみに、家に帰って顛末をケロに話したところで、(普段は温厚な)彼から、無計画な高額浪費に関して、言葉は柔らかながら半刻あまりの時間お説教を食らうことになるのですが……まぁ、自業自得と言うべきでしょうね。

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