番外.設定覚書その1 (※5/20 修正・追加)

【その1 概要&人物編】


☆『ハンティングモンスター・フロントライン(HMFL)』

 足掛け8年の歴史を持つ、準オープンワールドタイプの人気アクションゲーム。文明が一度崩壊した地球と似て非なる世界を舞台に、プレイヤーは狩猟士ハントマンとなって、世界各地の“狩猟場”に赴き、危険な(あるいは有用な)“巨獣モンスター”を狩ることになる。当初は家庭用ゲーム機向けソフト『ハンティングモンスター・フロンティア』として発売され、その時はスマッシュヒット程度の人気だったが、PCオンライン化した『HMFL』が出たことで爆発的にヒットし、一躍メーカーの看板タイトルとなった。

 プレイヤーキャラクターは、片手剣、両手剣、刀、斧、重槍、軽槍、打槌、大槌、棍、拘束鞭、短弓、長弓、軽弩、弩砲の14種類の武器系統から、いずれかを選んで使用し、また使用する武器や戦闘スタイルに応じた防具(軽装・重装・銃装)を装備して“狩り”に赴く。

 アクションゲームなので基本的に能力値は成長しない(攻撃力と防御力は基礎値が20増えるイベントあり)が、そもそも能力自体が一般人と狩猟士となり得る人間(※)では大きく隔絶している。

 たとえば、標準的な下級狩猟士の体力を100とすると、普通の村人の体力は20、かなり鍛えている町の衛兵(非タレント)でもせいぜい30程度である。体力だけでなく、筋力やスタミナ、敏捷性や頑健性なども段違いで、新米狩猟士が軽々と振るう鉄の両手剣や骨製の大槌も、一般人はふたりがかりで持ち上げるのが精いっぱいとされる。

 ちなみに、狩猟士の体質は生まれつきのもの、かつ血によって遺伝するとは限らないため希少で、ごく平均的な狩猟士でも町や村ではいわゆる“憧憬や畏怖の対象”。とは言え、ノービス(後述)までなら一般人でも(厳しい訓練を経れば)なんとか手が届かないこともない。

 また、狩猟士は、ノービス(新米)、アプレンティス(下級)、マスター(上級)、アデプト(達人級)の4階梯グレードに分類されるが、アデプトは世界全体で100人しかいないため、事実上はマスターが最高ランク。階梯を超える際には昇格審査が行われ、それに合格パスすることが必要。また、単なるマスター以上の腕利き狩猟士を特に敬意を込めて「狩猟師ハントマイスター」と呼ぶこともある。

 なお、前述の分類はゲームの背景設定的なもので、実際のゲーム内ではハントランク1~10がノービス、11~50がアプレンティス、51以上がマスターで、100以上がオーバーマスター(超級)とされていた(アデプトはやや特殊で、世界中の狩猟士ランキング100位以内に与えられる別格の称号だった)。

 オーバーマスターの割合は全狩猟士の2~3%ほど。30分の1以下のまさに選良エリートである(逆にノービスが狩猟士全体数の6割近くを占める)。

 ちなみに、リーヴはゲーム時代は、もうちょっとでアデプトに手が届きそう(ワールドランキング200位前後)なオーバーマスターであったが、カクシジカの町に出現した直後はマスターとして登録している。これは、この世界ではランク100に達する人材は稀で非常に目立つため、転生時に担当神が気を使ってギルドカードを書き換え、あえて80程度に留めたという事情による。


(※)この世界では、全人類の9割以上を占める一般人と比較して、幼少時から腕力・脚力、耐久力、反射神経などの身体能力が著しく高い“素質持ち《タレント》”が存在する。その多くは、狩猟士や兵士といった戦闘職に就く(というか就くのが当然という流れがある)。逆にタレント以外の人間が戦闘職に就くことは珍しく、村・町の衛兵程度ならともかく、“バケモノと戦う超人”であることを求められる狩猟士には非常に稀である。

 例外はあるがタレントには以下のような特徴がある。

・種族の平均身長よりかなり大柄

・生命力が旺盛で怪我などの治りも早い

・身体能力が高い反面、非常な大食漢で、普通の人間の3倍程度の量を食べる、また、空腹になるのも早い(腹いっぱい食べても3時間ぐらいで空腹になる)。


☆HMFLの世界

 文明レベルは一部を除いて日本で言う室町末~戦国時代程度。農耕技術はそれなりにあるのだが、人間の可住区域が非常に狭いので、人口はギリギリ微増といったところ。土地環境と資源の関係で畜産は発達しておらず、食肉や皮革は狩猟によって賄われている(だからこそ、狩猟士の存在が重要)。かつてはより高度な魔法文明があったらしいが、それが崩壊して久しい(数百年経過?)。人里よりも自然の方が圧倒的に多く、普通の動植物に交じって巨獣モンスター怪獣デーモンが闊歩する、人間にとってはいささか危険度高い生存環境である。


◇HMFL世界の住人

 いわゆるホモサピエンスに相当する「並人種ヒューム」のほかに、長命で魔力の高い「龍人種ドラッケン」、小柄で様々な獣相を持つ「獣人種ゾアン」の2種族も共存している。人に友好的な獣人種は、主に立猫族ケトシー狗頭族コボル小猿族マンクスの3種で、多くの村や町で見られる。逆に人と敵対的な猪頭族ボアドン、中立的な羽鬼族ガゴルなども存在する(⇒詳細は設定その2へ)。

 これら異種族のうち、龍人は並人同様、狩猟士になることもある。その身体能力はタレントの並人に匹敵するうえ、龍人独自の特殊能力(咆哮・顕鱗など)の助けもあって、極めて優秀な狩猟士となりうる。友好的獣人の中で特に冒険心旺盛な者は“アシスタント(支援役)”と呼ばれる職に就いて狩猟士の手助けをしてくれることもある。


巨獣モンスター

 その名の通り、巨大(アフリカ象程度から某老山龍クラスまで)な動物の総称。哺乳類ばかりでなく、爬虫類や鳥類、両生類さらに昆虫・甲殻類なども含めて「巨獣」とひとくくりにしている。


怪獣デーモン

 巨獣と同様(あるいはそれ以上)の巨体を持つが、同系統の小型種を持たない(つまり、通常の生物種が変異・進化したのではない、と推測される)生物。いわゆるドラゴンの類が多いが、不定形のワケのわからないモノなども時折発見される。十中八九厄ネタで、ほとんどが剣呑な特殊能力を持っている。


◇魔術と錬金術

 現在のこの世界に魔術は現存しない(とされている)が、その派生技術スピンオフである錬金術は、細々と残っている。と言っても、少し大きめの町に行けば、錬金術士アルケミストのひとりふたりは見つかるだろう……という程度の希少さ。優れた錬金術士は、通常の調合や鍛冶などでは生み出せない素材や道具を作り出し、狩猟士や軍人のパワーアップにつながる。そのため、街や大きな町では優秀な錬金術士は為政者側に囲い込まれる傾向がある。


◇魔力と気力

 気力とは、生き物の精神が生み出す活力・意欲・やる気の類いで、万人──少なくとも生きて意識のある人間ならば誰もが大なり小なり持っている。魔力とは、この気力をコントロールすることで自然界に溢れる生命力を体内に取り込み、“より指向性のある力”へと変換したものを指す。錬金術を使用するには魔力が不可欠なので、錬金術士には魔力は必須だが、狩猟士も錬金術の産物を使用する機会は多いので、可能なら持っていたほうがよい(魔力が使えなくとも狩猟士にはなれるが、大成する狩猟士はたいてい多少なりとも魔力が使える)。


狩猟士協会ハントマンギルド

 文字通り(モグリ以外の真っ当な)狩猟士が全員所属している団体。本部はニアーロにある。狩猟士の普段の生活や狩猟をバックアップするのが本来の役目だが、同時に狩猟士のランク査定や不逞狩猟士の取り締まりなども行う。国境を越えた組織で、不逞狩猟士への逮捕特権なども有している(逮捕後、ギルティとされた狩猟士は、相応の罰──罰金やランクダウン、さらには資格の剥奪、能力の封印などを受ける)。また、狩猟士が仕留めた獲物から得られる肉・素材等を卸す先も協会と(半強制的に)なっているので、経済的にも非常に大きな力を持っている。

 ほかにも確認された普通種・大型獣・巨獣・怪獣の資料を蓄積し、危険度(※)をE~Sの6段階に分類、周知するのもこの協会の役目。

 大きめの町や街には支部があり、それ以外の町・一部の村には出張所(支部の簡易版)が存在する。支部には狩猟士志願者向けの訓練所も併設されているが、その質はピンキリで、ニアーロやハルメンのように信用度の高いところもあれば、カクシジカのように開店休業状態に近いところもある。


(※)危険度

 協会公式編纂の生物図鑑に掲載されている動物たちの「遭遇した際の、人間に対する危険性の目安」。複数の観点から総合的に判断されるが、大雑把には以下の通り。

 ・E:一般人であっても、ほとんど危険はない

 ・D:狩猟士であれば問題なく対処できる

 ・C:下級狩猟士であれば十分狩猟できる

 ・B:上級狩猟士でないと狩ることは難しい

 ・A:上級狩猟士の中でも腕利きが複数でないと対処できない

 ・S:災害級。達人級狩猟士であっても討伐は困難。

 実際には、これにB-やC+といった感じの多少の加減を付けて表記されることも多い。

 たとえばD+であれば「新米狩猟士だと注意しないと遅れをとる可能性もある」。逆にC-なら「新米でも徒党で巧く連携すれば狩猟可能」といった評価となる。原則的に巨獣はC以上、怪獣はA以上の危険度が冠される。

※なお、言うまでもなくこの世界で地球のアルファベットがそのまま使われているわけでなく、この世界の文字からの翻案表記である



支援役アシスタント

 体格的に人間に大きく劣る(身長1メートル前後)のケトシーやコボル、マンクスが、狩猟者を文字通り支援補助するための役割として同行する際、こう呼ばれる。狩猟士のような階梯分け(新米・下級・上級)はないが、それまでに同行した(そして狩猟士ともども無事帰還した)依頼の質と数によって1~10までのランクに格付けされ、ランク10のアシスタントともなれば上級どころか超級の狩猟士さえ一目置くほど。実際、狩猟士同様に巨獣や怪獣から採れる素材を用いてキチンと武装したアシスタントは、素の攻撃力こそたいしたことはない(それでもランク10ともなればメガバフズぐらいは単独で狩れる)が、生残性が非常に高いうえ、挑発的行動による獲物の誘導・攪乱、索敵や警戒、目標物の探索、各種アイテムを使用することによる狩猟士の援護など多岐にわたって狩猟士を助けてくれる頼もしい仲間となる。

 なお、ゲーム内では各プレイヤーは専属契約する形で5体までアシスタントを雇うことができた(同行は2体まで)が、この世界では各地の狩猟士協会の支部に所属して、依頼の都度契約する傭兵のようなシステムになっている。この時、契約を受けるか否かの決定権はアシスタント側にあるので、あまり無茶な真似ばかりしている狩猟士は断られることもある。報酬はアシスタントを0.5人と数えて、依頼の成功報酬を頭割りし、その0.5人分を支払うのが一般的。また、これと見込んだ相手の元に押しかけてゲーム同様に専属アシスタントとなることも稀にある。その場合は、依頼に同行しても報酬は協会からは払われない(専属先の狩猟士が負担することになる)。



◇この世界の地理と国家

 世界の大半(陸地面積のおよそ8割以上)が未開発地域であり、現代地球のような広大で強大な国家は存在していない。“国”と呼べるものの大半が都市国家に毛が生えたレベル(人口10000人程度の都市を中心に、周辺に点在する町や村のいくつかがそこに所属している程度)。現存する最大規模の国家・ルノワガルデでも1万7千平方キロ強と四国よりやや狭い程度でしかない。

 政治形態もバラバラで、それなりに大きめ(と言ってもせいぜい2000~5000平方キロ程度だが)の国は王政であるケースが多いが、小規模な都市国家などは大概、複数の長老・議員・組合長などによる合議制をとっている(これは単独の強力な指導者を立てるメリットが薄いため)。

 王政の国には貴族が存在することもあるが、中世~近世ヨーロッパの宮廷貴族などとは異なり、せいぜいが「ちょっとお金持ちで垢抜けた豪族」といったレベルなので、庶民にとってもそこそこ馴染み深い存在(ただし、小さな共同体内で、それなりの“力”は持っているので、敵に回すのはあまり得策ではない)。


◆舞台となる大陸

 惑星の北半球にあり、そこに住む者からは、単に「大陸」「大地」「この地」などと呼ばれている。数年前、西に別の大陸があることが判明してからは、こちらを「父祖なる大地(カルデア)」、もうひとつの方を「汎大陸(パンゲア)」と呼ぶことも。大雑把に言うと東西に長い菱形をしており、最北部は寒帯、最南部は熱帯にまで及ぶが、大半の土地は亜寒帯から温帯に属している。降雨量も多く植生も豊かなので、一部の砂漠地帯を除くと生物的には恵まれた環境と言える。ただし、西部に行くにつれ巨獣・怪獣、大型獣の数が多くなり、人類の棲息可能領域は狭まる(西端部などはほぼゼロ)。このため、別大陸があることが、つい最近まで知られていなかった。


◆ルノワガルデ公国

 大陸中央よりやや北西寄りにある巨大なカルデラ盆地(長径150キロ、短径130キロ程度の楕円形に近い)内に築かれた、現在のこの世界最大の国家。地形的な有利もあって、国内(=盆地内)のモンスターは、人里付近はほぼ駆逐されており(もっとも、それが達成されるまで多大な労力と30年以上の歳月を要したが)、狩猟士や精鋭兵士の護衛がなくとも主要街道を行き来できる、この世界では珍しいほどに安全なエリアとなっている(無論、地方の支道などはその限りではない)。

 国家成立自体も1、2を争うほど古く、おかげで崩壊前の文明の残滓が比較的多く遺っており、それらに対する研究も進んでいる。

 国の頂点には“公王”が象徴として立っているが、実際の政治を統括しているのは議会が選んだ4人の大臣(太大臣、左大臣、右大臣、権大臣)で、太大臣がいわゆる首相(蔵相も兼任)で、左大臣が農林水産・運輸・厚生、右大臣が法務・文部・外務、権大臣が軍部を統括している。ただし、議会の議員は貴族各家の家長と町村長&街長から構成されているため、現代的な意味での議会民主制とは言い難い(貴族はもちろん、街町村長も世襲職である)。また、政治的実権はないとはいえ、公王とその血族は国民全体の尊敬を集めているため、四大臣といえどその意向を無視はできない。


・ニアーロ

 ルノワガルデ盆地の東西中央かつやや北よりの場所に築かれた、大陸最大規模の都市にしてルノワガルデの王都。定住人口は約7万人。主に商工業が発達しているほか、王宮・上流階級街以外の庶民の住宅地にも原始的ではあるが上下水道が設けられている、公営の巨獣闘技場がある、錬金術/古魔術研究機関グリンダの本拠がある……など、よそでは見られない数々の特徴を持つ。

 狩猟士協会の本部も存在するが、これに関しては(規模が大きいことを除くと)他の街とそれほど大きな違いはない(もっとも、付属する訓練所の質が非常に高いことは有名)。

 三重の強固な城壁に加えて、その城壁に設置された数々の対巨獣怪獣用大型武装のおかげで、建設から200年を越えて、未だそれらによる街の蹂躙を許していない(ただし、空を飛ぶ怪獣の襲撃を受けて軽微な損害を出したことは2度ある)。

 王都ということもあり、定期的に周辺の巨獣の駆除が行われているため、駆け出しの狩猟士にとっても比較的安全に狩りに出ることができる、RPG風に言うと“始まりの町”。


・カクシジカ

 ニアーロから続く東西街道に沿って、東に徒歩1日半程度でたどり着ける比較的大きな町。定住人口は3000人程度。町を出て南に沼地、北に山地、東が草原で、西は灌木地帯が広がっている。農林業が中心だが、猟果による加工業や商業もある程度発達している。

 代々の町長の方針で、この規模の割に兵士の質が高くて治安が良く、北の山奥を除くと、さほど手ごわい巨獣は出現しないため、新米から下級に上がったばかりの狩猟士にとっては安牌な地域。反面、上級者にとっては稼ぎの面ではやや物足りない場所となる。


・ハルメン

 ルノワガルデ南西部のトゥワード湖に面した漁港町。定住人口は2000人弱で、町の面積もカクシジカよりひと回り小さいが、南西部の貿易拠点のひとつなので非常ににぎわい栄えている(「定住」でない人口は下手するとカクシジカより多いくらい)。水棲巨獣に対処するための特訓を受けられる狩猟士訓練所があることでも有名。


・トゥワード湖

 内陸の盆地内に位置するルノワガルデだが、国内面積のおよそ6分の1を占めるトゥワード湖があるため、水利や水産物にはあまり不自由していない。この湖は淡水湖だが、漁獲量も多く、昆布と似た食用水草も採れるため、漁業がさかん。ただし、水棲の巨獣や大型獣の数も少なくないため、中型以上の船には対水棲巨獣の訓練を積んだ狩猟士が同行するのが普通。湖岸近くの養殖施設にそれらの水棲動物が乱入してくることもあるが、その場合も狩猟士の出番となる。


◆ジェニシス

 ルノワガルデの南西の隣国クロヴェル内のさらに西の辺境近くにある街。定住人口3000人弱という点を見ると街というより町と言うべきなのだが、滞在人口が常時その3倍以上(1万人程)存在し、両者を合わせると大陸でも有数の大都市となる。人口だけでなく外郭城壁の頑丈さと防衛機能の高さ、そして商取引額の大きさも大陸トップクラス。これは、此処が巨獣怪獣との戦いの最前線フロントラインであり、滞在人口の8割以上が狩猟士、さらにそのほとんどが上級狩猟士であるという環境に由来する。大陸中の腕に覚えがある上級狩猟士や達人級狩猟士が集まり、“大物喰い”に精を出している場所だと言えるだろう。協会で出される依頼クエストの90%が推奨ランク70以上、残る10%の簡易な依頼も最低限ランク50近くでなければ請けるのはやめた方がよい難度(依頼内容自体は普通の採取などもあるのだが、その採取場所自体、危険度がバカ高い)。ちなみに滞在人口残り2割の大半が、巨獣怪獣の素材を買い付けに来た豪商やその部下。当然、この修羅の地に来るには相応の護衛(上級狩猟士かそれに匹敵する強さの武人)が必要となる。



☆登場人物

◆牧瀬双葉/リーヴ

 水産加工系食品会社の宣伝部に勤める31歳の男性(独身)……だったが、気が付くとオンラインアクションゲーム『ハンティングモンスター・フロントライン(HMFL)』とよく似た世界で、自らが作ったアバター「リーヴ」(21歳・♀)として存在していた。

 現実の世界では、背丈は人並みだがヒョロヒョロで地味顔で影の薄いモヤシくん(当然スポーツは苦手)……だったのだが、その反動か『HMFL』では「長身(設定身長189センチ)で筋肉質だが、巨乳褐色肌のワイルド系ルックス(全身に傷痕あり)の迫力ある女性(髪型はワイルドファン●風)」のアバターを使用していた。

 ※直接的なモデルはいないが、「ダンガンロンパ」の大神さくらや「ヨルムンガンド」のバルメなどをリスペクトしている。

 実はクリスマスイブの夜、弟の三郎と飲んでから家に帰る途上で列車事故に巻き込まれて死亡。しかし、この事故は神の手違いで発生したため、その補償として現代地球以外の世界への転生を打診され、HMFL的世界を選んだ(当初は本人の記憶からは消えているが後に思い出す)。

 ちなみに、転生と言っても子供からやり直すわけではなく、(ゲーム同様の)成人した姿でHMFL世界でも(大きな街ほどではないが)比較的都会であるカクシジカの町の門の近くに出現。その身に着けた装備から腕利き狩猟士であると目され、狩猟士協会に所属することになる。

 素の性格は「慎重にして堅実……に見えるのんきなヘタレ」なのだが、パッと見が「豪快な姐御」風なので周囲には勘違いされやすく、また本人もプレイスタイルはともかく性格は少々お調子者な点があり、興が乗って「女傑のロールプレイ」的行動をとってしまい、あとでこっそり頭を抱えることも多々ある。

 リアルではネトゲ好きで、『HMFL』でのハントランクも100を超えた“オーバーマスター”(ただし世界トップランカーには到底届かない程度)だったが、実際にHMFL世界で狩猟士になってからは、異様に能力の高い自分の体に時折(内心で)ビビっている。

 得意武器は「大槌ハンマー」と「拘束鞭バインドウィップ」。その大柄な体躯から振り下ろされる重い槌の一撃は、巨王蟹マグニキャンサルの分厚い殻すら砕く。また、鞭使いはスピード&手数重視の小柄な者が多いのだが、リーヴの場合は絡み付けて拘束することで敵の自由を奪い、仲間の攻撃を助けることに重点を置いている。次点は「片手剣グラディウス」と「長弓ロングボウ」。敵との相性次第で切断属性や盾による防御が有効なので片手剣、同じく遠隔・貫通攻撃の有効な相手用に弓も修練している。

 当初は獲物の解体がやや苦手だったが、実技教官となるために協会で講義を受けて解体士の資格を取った(根が真面目)。その後、相応の数をこなしたことで解体の腕も徐々に上達しつつある。


・ロォズ

 カクシジカの町在住の新米狩猟士(♀・15歳・登場時ランク8)。偶然出会ったリーヴに懐き、しばらく指導を受けることになるボクっ子。主武器は短弓ショートボウだが、後にリーヴのアドバイスでロッドも使うようになる。

 両親を早くに亡くし、カクシジカ近隣の村で農家をしている祖父母に育てられた。狩猟士だった父にあこがれて、15歳になった時、カクシジカに来て狩猟士となった。

 ショートカットで短パンを履いた小柄(設定身長155センチ)な元気娘。

 外見イメージは“15歳になって髪を解いたコクリコ(@サクラ大戦)”。

 素直で明るい努力家だが、同時に自分がタレントではないことに引け目も感じている。


・ヴェスパ

 カクシジカの町にやって来た新米狩猟士(♀・14歳・登場時ランク9)。リーヴ&ロォズと臨時徒党を組むことになる。主武器は軽弩クロスボウ、サブとしては打槌メイス&小盾を選ぶ。

 人懐っこく真面目で世話好き&可愛いもの好き。ロォズとも気が合うようですぐに打ち解ける。ただし、時折、突飛な発想で周囲を振り回す。

 ツインテール&童顔&ファニーボイスで幼い印象を受けるが、実は身長・体格ともに同世代の平均を上回っている(165センチ・55キロ)。スリーサイズも80・65・87と意外にオトナ。

 外見のイメージは“大きく身長の伸びた柚原このみ(@TH2)”。

 実は、アデプトに名を連ねる著名狩猟士ふたりを両親に持つサラブレッド。親の七光り(そのことに多少のコンプレックスもある)にならぬよう、自発的に故郷を離れた地に修行に来た。


・ノブ

 カクシジカの町にやって来た新米狩猟士で、ヴェスパの相棒にしてボーイフレンド(♂・15歳・登場時ランク8)。主武器は重槍ランス&大盾で、最前列で敵の攻撃を受け止めるタンク役。記憶喪失で行き倒れていたところをヴェスパに助けられ、色々あって狩猟士になった。常識人で忍耐強い、ヴェスパの抑え役(兼ツッコミ)。

 適当に短めに切り揃えたサンドベージュの髪、穏やかな印象の黒に近い茶色の瞳、浅黒い肌と細身だが瞬発力のあるボディなどが特徴。身長182センチ。

 外見的なイメージは“色違いのヨシュア・ブライト(@空軌跡)”。

 実はルノワガルデ以外の国の元兵士、しかも隠密に近い特殊部隊に所属していたが、任務でこの国に来て潜伏中、一般人が大型獣に襲われているのを助けようとして頭部を負傷し、記憶を失った。なお、後におぼろげながら過去の記憶を取り戻し、過去のしがらみとこの国で世話になった人々への好意の板挟みになる……のだが、それは主人公リーヴの知らないお話。


・ジョカ

 北西部からカクシジカの町にやって来た新米狩猟士(♀・16歳・登場時ランク5)。レオ徒党の一員にしてダメージソース。その馬鹿力でアックスを振るい、獲物に大ダメージを与えることを身上としている。ただし、この上なく脳筋でもある。

 金髪碧眼の素質持ち(タレント)だが、まだ成長途上なこともあってか、顔立ちは可愛らしく、性格も朗らか(何も考えていないとも言う)。よく食べ、よく動き、よく眠るせいか、3人の中では一番体格が良い(胸も大きい)。

 外見イメージは“(ケイ@ガルパン+レオンミシェリ@犬日々)÷2”。


・レオナルド

 レオ徒党のリーダー……決して、雑用係ではない新米狩猟士(♂・15歳・登場時ランク5)。性格は、一見すると気弱だが、素質無しの身でありながら狩猟士を目指し、キチンと色々準備してカクシジカの町までやって来た、思慮深く芯の強い少年(ちなみに他のふたりは勝手についてきた)。非タレントとは言え、割と辺境に近い田舎村の子だったので、体はそれなりに丈夫で鍛えられている。あまり学はない(かろうじて読み書きできる程度)が、実は頭を使って工夫することに適性があり、その点をリーヴは高く評価している。狩猟場では主に軽弩を使う。

 外見イメージは“赤毛緑眼の苗木誠@ダンガンロンパ”。


・エヴァ

 レオ、ジョカ同様、北西部からカクシジカの町にやって来た新米狩猟士(♀・16歳・登場時ランク5)。徒党のサブリーダー……なのだが、普段はいちばんリーダーシップを発揮して仕切っている(村長の末娘という出自も関係しているのかもしれない)。スラリとした長身(背丈自体はジョカより上)で銀髪紅瞳の美少女だが、素質持ちだけあってその膂力は侮れない。主武器は(実家からちょぱってきた)カタナ

 ジョカが攻撃力偏重なのに対し、こちらは「攻撃を当てる」ことに主眼をおいて立ち回る。それによってヘイトを稼ぐことで、間接的に回避盾のような役割も果たしている……が、未だ技術が未熟なので百発百中とは言えず、盾役としても半端。3人の中で一番学があるはずなのだが、頭に血が上りやすく、感情的になるとジョカと大差ない脳筋思考になってしまう。

 外見イメージは“銀髪でスレンダーなセシリア・オルコット@IS”。


※ノブとレオの違い

 どちらも穏やかで静的な性格の少年だが、ノブは「ヴェスパがリーダーであり、自分はその補佐役」という意識を明確に持っている。目標決めなどはヴェスパに任せている反面、彼女が危険にさらされれば全力で護り、彼女が誤った時はキチンと正そうとする。対してレオは、これでも一行のリーダー格であり、自分がソレに向いていないと思っているものの、責任感の強さもあって余計な気苦労まで背負いがち。その反面(とくに狩猟時以外のプライベートでは)、性格的に女の子ふたりに言うべきことを言えないことも多々ある。


・ケロ(狗頭族・10歳(♂)・白と薄茶色の毛並み/メイン武器:ツルハシ)

 長年リーヴに雇われてきたランク10のアシスタント。

 戦闘力ではカラバに、咄嗟の機転や小器用さではチーチーに、それぞれ劣るが、その先達に比べて戦闘時・非戦闘時問わず我慢強く粘り強いのが特長。また、狗頭族の特性として寒冷地に強く、嗅覚も鋭い。

 性格はやや臆病で遠慮しがちだが、基本的には礼儀正しく真面目で善良。ただし、気安い仲になれば割と素直に感情を表に出すようになる。


・カラバ(立猫族・11歳(♀)・橙色に虎縞の毛並み/メイン武器:レイピア)

 リーヴの専属アシスタントで、ケロの先輩にあたる。実は『HMFL』では、一番最初にリーヴが契約した獣人。当然ランクは10。

 その戦闘力はランク10アシスタントとしても突出しており、多少時間をかければ単身でもメガボアズくらいなら狩れるほど。反面、狩猟……というか「敵と戦うこと」以外の技能はからっきしで、ある意味、生活無能力者。

 勝気な性格で、アシスタントの同僚や後輩は元より主であるリーヴも平気で叱りつけるが、一番リーヴのことが大好きなのもこの子という典型的ツンデレ。


※ちなみに、ほぼ戦闘特化のカラバを除くと、他のリーヴのアシスタントたち4人は全員家事もそれなりに出来るが、中でもケロは裁縫と洗濯が得意(というか半ば趣味)。なお、料理はチーチーが、掃除は4人目の支援役であるタンゴ(立猫族♂)が一番巧かった。


・マクドゥガル、ラン

 ルノワガルデ公国東部の村に住む上級狩猟士の夫婦で、ヴェスパの両親。マックは片手剣と刀を、ランは飛び道具全般を得意とする。実は、夫婦そろって達人級アデプトに名を連ねる猛者で、かつ「狩猟師ハントマイスター」の称号も得ている郷土の偉人的存在。

 ヴェスパ自身は両親のことは大好きなのだが、「両親の立場や名声」は少々重かったようで、あえてその影響の少ない都会カクシジカにやって来た。

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