楽園68    癒やし処

「もう、みんな考えすぎよ」

麗子が、色々と考えても何も変わらない。

「何が起こるかわからない怖さはあるわ。だけど、私たちはこれまでもみんなで力を合わせ、時に対立したり、一緒に泣いて、笑って、乗り越えてきたじゃない。何を今更怖がり悩む必要があるの」

麗子のガッツある一言に、皆に進む勇気をくれた。

「そうだな」

「麗子さんの言う通りだな。僕たちは進まないとな」

「私もあんな病気をしてもみんなに生命を助けてもらったしね」

「俺も色々な経験が活かせれているしな」

「会社にいる時以上に充実しているしね」

五人は麗子の方を向いて言った。

「それじゃ、作業をしてきましょう」

「オッケー」

「うん」

拓斗と翔は畑に戻り種まきと耕しを、麗子とカトレアは果実やハーブの花を採取しに、博樹は修理したミシンや裁縫道具で靴や衣類の修繕、はるみは水着に着替えて海に行き漁に出た。

考えても仕方がない。悩んだり、疲れたら忘れる。そして、別の楽しいを見つけたり作るのが自分たちのモットーだと言うことを忘れていた。

夜、温泉に浸かり疲れを癒やす六人。

「はぁ、極楽だ」

「本当だな」

「えぇ」

「こんないい温泉、日本なら高額な料金を払わないと入れないわね」

「箱根や有馬、日光の敷居の高い温泉宿はなかなか泊まれないからね」

ちなみに、女性陣は頭にタオルを巻いて髪をお団子ヘアにし、身体をタオルでかくしてはいるが、はるみはエメラルドグリーンのハイレグカットの水着、麗子はピンクのビキニ、カトレアもパープルのビキニを下に着ている。拓斗たち男子陣も海パンを穿いているので裸で入浴してはいない。所謂ジャグジーみたいな感じだ。

「明日は、どこを作業する?」

「はるみさんが取ってきてくれた魚や貝やわかめを処理しよう。生け簀にいれているけど、明日には捌いて処理しとこう」

生け簀だが、古代獣たちがいなくなったので、天然洞窟は今でも冷蔵庫代わりに使っている。

拓斗は翔と穴を掘り、船にあった金ダライを埋めて水を張り、魚や貝を入れて適度な温度で保存出来る簡易的な生け簀を作ってある。

「私たちは、服や下着、水着を洗濯するわ。もう、三日以上溜まっているから明日はさぁーと終わらせてしまうわ」

「石鹸の素になる植物を見つけたから洗濯やお風呂には困らないわね」

「俺は、物干し場所を先に掃除して、風呂や漁に使う道具を修理しておくよ」

博樹、麗子、はるみ、カトレアもそれぞれの分担を決めておく。

あと、彼ら彼女たちはお湯に浸かる前に脱衣場の隣にある手洗い場所(トイレと身体を洗う部屋)で洗髪や洗顔、男子陣なら髭剃り、女子たちは無駄毛の処理をし、身体を洗って入浴するルールだ。

「さて、明日は魚捌いたら、シャリを作ってお寿司にするか、焼き魚や刺身もいいけど」

「カトレアさんがわさび菜とそばの実を見つけてくれたからだよ。こんどは石臼や綿棒を作ってお蕎麦も作ろう」

「そうだね」

そんな他愛のない会話を楽しんだ後、六人は温泉から出て、新しく作った部屋に入った。

そこは、たった一つの癒やしの間。

「はぁ、気持ちいいわ」

「拓斗…激しいわ。もっと優しくして」

「感じちゃう」

麗子、はるみ、カトレアの喘ぎ声がしてきた。

まさか…

「ああ、気持ちいいは腰のそこは強くもんでね」

カトレアが至福の時に浸る。

「麗子さん、いつもお疲れ様です。ゆっくりと癒やして下さい」

「博樹…強い腕だわ。貴男、指圧師になれるわ」

「拓斗、強いわ」

「力加減ならまかして」

うつ伏せになる麗子、カトレア、はるみの腰、首、肩を男子たちが優しく、時には力強くもみほぐす。頑張ってくれているお姉様たちをいたわる。

美女たちは目を覚ますと光が差し込み、前を見ると一面にお花畑が広がり、純白のドレスと白い帽子を被り、バスケットやカバンを手に持ち、少女の様に舞う。

「ああ、もう、課長の役職なんていらわないわ」

「私も子供に戻って、子供たちと遊びたいわ」

「私たち、普通の女の子に戻るわ」

そお、何にもとらわれず、その花たちに囲まれてピクニックを楽しむのだ。純白のドレスと白い帽子に身を包み込み、バスケットを持ち、少女のころの様に遊ぶ。

彼女たちが癒やされているのがわかり、少年たちは誰よりも幸せだった。惚れた女性の幸せほど嬉しいものはないからだ。

南国のプチリゾートに身を任せる美女たちは、その愛を受け取り、誰よりも羽ばたいた。

「拓斗、ありがとう」

「博樹、気持ちよかったわ」

「翔くん、本当に癒やされたよ」

美女たちからいつもみたく、キスやハグのお礼が来た。

「それじゃ、次は私たちの番ね。ぼうやたちには刺激が強いかもしれないけど…」

麗子、はるみ、カトレアはにこりと微笑んだ。

どんな、お礼を少年たちにするのだろうか?

不思議に思う彼らをよそに、美女たちは、そのまま、怪獣たちと戦った後にオープンさせた娯楽室へ誘導し、さらに奥へ三人を美女たちは誘った。






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