「また新しいフレンズですか。自分が何の動物か知りたければ料理を作るのです」

文化 右(ぶんか ゆう)

ふれんず

「どうも、アフリカオオコノハズクの博士です」


「どうも、助手のワシミミズクです。……何、音もなく現れたと? 我々、音を立てずに飛ぶなど朝飯前なのです」


「ここまでたどり着いた子は2番目です。また、期待が出来るです」


「我々ならお前が何の動物かを言い当てるなど楽勝です」


「だから、料理を作るのです。……料理とは何か、ですか。料理とは、食材を組み合わせ、加工し……いえ、食材を美味しくして食べられるようにする方法のことなのです」


「なのです」


「ヒグマにも料理させていますが、もっと違う料理も食べたいのです。我々はグルメなので」


「それに、頭を使うにはエネルギーを使うのです。我々は賢いので」


「料理がないと思い出せないかもしれないのです。我々は賢いので。……さあ、我々を満足させてみるのです」


「やるですか。やらないですか」


「……そうですか、やるですか。じゃあ、図書館に案内するです」




「図書館にはたくさんの本があるのです。ここで料理について調べてもいいのです」


「クイズの森を突破出来たということは文字が読めるということ、調べながら食材を使って作るのです。それではスタートです。この砂が無くなるまでに料理して、我々が美味しいと言えばお前が何の動物か教えてあげるのです」


「ついでに副賞も付けるですよ」


「……」


「……博士。やはり、今回のフレンズもヒト、なのでしょうか」


「そうですね、助手。つまり、また美味しい料理が食べられるということです、じゅるり」


「そういうことですね、じゅるり」


「……え? 何ですか?」


「内緒話でヒトと聞こえたと? さあ、何のことかわからないですねー」


「料理を食べたら思い出すかもしれません。さっさと作るのです。……フライパンが欲しいと? よし来たです」


「ついてくるです」




「ここを使うといいのです」


「ラッキービーストらによって、たまに手入れされているようなので、使えるです」


「……火が欲しいですか、いいとこまで来てるですね」


「やりますね」


「火はおいそれと渡せないのです。自分で調べるのです」


「え? そこまで知っているなら自分で作れば良いではないか、と?」


「我々はその火というものの扱いが未だに慣れないのです。……いえ、火の起こし方は知っているのです。ただ、その火が、何となく怖いのです。料理には火を使わない料理もあるですが、そうすると作れる料理の種類が減ってしまうのです」


「なのです」


「だから、火が苦手じゃないヒグマに作らせてみてはいるものの、文字を読んで自分で作るのではなく、我々が説明しながら作るので、どうにも美味しくないのです」


「だから、さっさと作るのです」




「出来たですか。では、改めてルールを説明するです」


「我々どちらかが美味いと言ったら合格。お前が何の動物か教えるのです」


「では……」


「早速……」


「この前みたいなおどろおどろしい見た目ではなく、黄色くて赤くてふわふわした感じなのです。また、この道具を使うですか? ……もぐもぐ」


「もぐもぐ」


「……とろとろしてて美味しいのです」


「甘くてとろけるのです」


「これが、新しい、料理ですか」


「え? まだあるですか」


「……これは何ですか。白くてふわふわして……た、食べてみるです」


「そうするです」


「……つ、冷たい!」


「冷たいのです!」


「なんですかこれは! 食べて大丈夫なのですか!」


「温かいお茶を飲むのです!」


「こんなに刺激が……いえ、でもかばんの件もありますから、もうちょっとだけ、です」


「ちょっとです」


「…………甘いのです」


「甘くて美味しいのです。……合格、です」


「教えてやるので、おかわりを寄越すのです」




「何の動物かですか。では、あなたは……」


「……ヒトです! …………うう、また、驚かれなかったのです」


「かばんのときと同じなのです」


「目立つ特徴としては二足歩行、学習能力……などありますが、何よりも火を恐れず、料理が出来ることです。前に来たヒト、かばんという子にも料理をさせたのです」


「……前にもヒトが来たことがあったのか、ですか。そうです、来ていたのです」


「かばんはここ、キョウシュウエリアで色んなフレンズのトラブルを解決してきたのです。でも、今はキョウシュウエリアを越えて、他に居るかもしれないヒトを探しに行ったのです」


「キョウシュウ以外の他のエリアでヒトを探すのも良し、キョウシュウに住むのも良し。好きにするといいのです。我々含め、フレンズは誰ものけものにしないのです」


「……そうですか、キョウシュウに住んでみるですか。じゃあ、図書館で寝泊まりするといいのです。知りたいことがたくさん分かるのです」


「それがいいのです。その代わり、これから毎日、我々に料理を作るのです」


「美味しいものを食べてこその人生なのです。……え? 副賞ですか?」


「分かりました。話題騒然、今何処に行っても……え、何ですか。副賞は“もふもふ“の方がいい、と?」


「“もふもふ“、とは何ですか。副賞はPPPのコンサートチケットのつもりでしたが……ひゃあ!」


「何をするのですか! 突然頭を撫でるなどと……」


「……で、でも中々、気持ちが良いものなのです、助手」


「……本当です、博士。副賞だというのなら仕方がないのです。もっともふもふするのです」


「するのです!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「また新しいフレンズですか。自分が何の動物か知りたければ料理を作るのです」 文化 右(ぶんか ゆう) @Bunka_yu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ