第10話

共通の友人から電話があった。

3年ぶりに。

“ヒロは去年亡くなっていたらしい”と。

「…なんで?…ヒロが…嘘」

「ほんまに。俺も聞いてびっくりしたんや」

ヒロの親友のトモ君が教えてくれた。

ヒロは友達少なかったから、

彼女出来ると「趣味?俺の趣味は彼女!」とか笑いながら言うくらい電話帳とか着信履歴にはわずかな友達と親しかなかった。

だから何で亡くなったんか…

誰もわからんねん」

トモ君は続けてこう言った。

「そやけどあいつな、

カオリを幸せにできひんって…

昔に言ってたで。

俺の給料ぢゃ生活させてあげられへんからな。って言ってたは。

あの時はカオリに嫌われようが、あいつが出来る最後の優しさやったんやって…俺は思った。

俺らがカオリと初めて会った日、あいつカオリの事知ってるみたいな事を言ってて不思議やった。

俺、あいつと知り合ってまだ浅かったし幼馴染みを見付けたんかなぁーと思ったは。

あいつは親友やったけど謎な奴でもあったは。

でも、ほんまにいい奴やった。

カオリまた二人で今度あいつの想い出語ろうや!俺も聞いて落ち込んだけど落ち込むなよ。」

トモ君はそう言って電話を切った。

ヒロもう居ないんだ…

また失った様に思えた。

優しく目を細めて微笑んだヒロのあの顔…

言葉が出てこなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る