死神の願い事
ふかい うみ
第1話 じいちゃん
じいちゃんが死んだ。
起きてこないじいちゃんは布団の中で冷たくなっていた。
物心つく前から、ずっとじいちゃんと二人で暮らしてきた。
じいちゃんはすごい人で、じいちゃんがいればそれでいいと思っていた。
じいちゃんはじいちゃんであって、先生であって、友達であって、母さんみたいでもあった。
じいちゃんが死んで一人ぼっちになった俺は古いアパートの一室で暮らすようになった。
会ったこともない親戚の大人の取り計らいで生きていくことになった。
じいちゃんと過ごした思い出の家は取り壊され、空き地となり、おととい売却済となった。
もう、どこにもじいちゃんはいないのだ、と思い知らされた気分だった。
毎日はこんなにもつまらないものだっただろうか。
毎日はこんなにも同じことの繰り返しだっただろうか。
毎日はこんなにも灰色の世界だっただろうか。
こんなにもつまらない日々がこの先何十年と続くなんて、耐えられない。
だったらいっそ、今の内に、死んでしまおうか。
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