雪景色

八頭身派 颯仁

雪景色

私はねむかった。

とても、ねむかった。


その日はとても刺すような肌寒い雪の日だった。

私は寒いのは嫌いだ。雨の夜も、寒いのも、頭が割れるほど痛くてどうしようもなく眠りにつくしかなかった。


でも、窓から見える雪の景色だけは好きだった。地面は一帯雪化粧で、吹雪いてるのか空まで真っ白で。それでいて静かな風景に私は鼻の凍えるのを忘れてずっと眺めたりもした。


しばらくそうしていると流石に肩から腕、体の前面が冷えていき、私は窓を閉じてココアを淹れることにした。


コポコポと音を立ててミルクを温める。先程まで冷えてた体がコンロと湯気で温まったのを感じると、冷めないうちにココアを淹れた。


フカフカのソファ。好きな雑誌の乗ったサイドテーブル。暖炉の前の指定席。


私の心も体も温めてくれる、最高の場所だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

雪景色 八頭身派 颯仁 @hattoushinha

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ