第5話大討伐作戦-準備-

「よし、準備完了!と、皆もう出発するよ!」

「ちょっと待ってください!初めての大討伐作戦に胸を踊らせるのはいいですが、まだ準備が...」

そう、それは昨日の夜に遡る。

「大討伐作戦?」

宿屋にいるのは俺とメルカとグランシアだけだ。姉さんがアイスを食べたいと急に言い出すものだからリリアさんがついて行ってくれると言い、今は2人で出かけている。

その上グランシアはぐっすり熟睡してるため実質俺とメルカの2人きりだ。

「そうです!前に夢さん家が欲しいって言っていましたよね?」

「確かにそんなこと言った気がするな、で、その大討伐作戦とやらとなんの関係があるんだ?」

メルカが目をキラキラさせている、なんか見慣れてきたなこの目。でもいつ見ても自分の心の汚さを気づかせる目だと痛感する。

「はい!家を買うにはもちろんタダでとはいきませんし、大金が必要です!それもほんとにたくさんです!そこでこの大討伐作戦なのです!」

言い終わったあとに、むふーっと鼻息が荒くなってるところを見るとメルカ自身が行きたかったのだと思う。

「それってメルカが行きたい気持ちもかなりつよい?」

「じ、実はそうなんです..私、夢さん達に会うまで独りぼっちだったじゃないですかあ...色んなパーティが集まって巨大なモンスターを狩るのが夢だったんですよお...」

「わかったわかった!泣くなよ、それで?その大討伐作戦は複数のパーティが集まって巨大なモンスターを討伐するクエストってことか?」

突然泣き始めたメルカをなだめつつ話を進める。

「んぐっ...ひくっ...その通りです、ボスモンスターを討伐、もしくは捕獲、撃退するといった目標に対し複数のパーティが協力してクリアするといったものです。一番の特徴は、報酬金が国から出るというとこです」

「複数のパーティで山分けしても、今までの2、3倍ほどの額になるそうですよ」

いつから帰ってきたのかリリアさんがよこ横に立っていた。

「メルカと2人で楽しそうに話してたのには目をつぶるけど...、私もかなり行きたいの!だって、見たことないような大きなモンスターが見れるのよ!?その上高額報酬!」

姉さんのことだから知的好奇心が刺激されたんだと思う。

「巨大モンスターと死闘を繰り広げる私の弟がかっこよくないわけが無い...ハァハァ...」

そっちかよ。

「私も高額報酬があるのは心惹かれますがその...」

「何か行きたくない理由があるのか?もしかしてめちゃくちゃ高難易度だったり?」

「い、いえそうではなくて...今回の大討伐作戦のボスモンスターが...ボスマンドラドラゴンで...」

リリアさんは駆け出し冒険者の頃にマンドラドラゴンに捕食されている。それ以来マンドラドラゴン系のクエストは避けていたが、更にそのボスとなるとさすがに賛成しがたいようだ。

「...わかった!」

姉さんがなにか思いついた様子でリリアさんの手を握る。

「前に話してたその時に助けてくれた巨人族と一緒にクエストに行けばいんじゃない?リリアちゃんもそれなら少しは安心できると思うんだけど」

「なるほど、さすが姫様!それならメルカ様の夢が叶って、高額報酬は貰えるし、その上姫様は夢様のかっこいい戦闘姿を見て、私はマンドラドラゴンを克服できるということですね!」

「一石四鳥ということですか?」

「行くしかないね!」

「「「「おおおお!!!!」」」」

「すぴー...」

そして今に至る。

「おおい!色男お!こっちは用意出来てるから宿の下で待ってるぞおお!ガッハッハッハ!!!」

トールとヒュージも快く承諾してくれた。

「待たせてごめんな!」

「ガッハッハッハ!!いいっていいって!気にすんなよ!ガッハッハ!!」

「荷物はそれに乗っけていけえ、大討伐作戦の作戦地付近のキャンプまで行くぞお!ワッハッハッハ!!!」

「ト、トルンチャ...出ましたねトルンチャ!この前の借り...返してあげますよ!...へぶっ」

「「「「グランシア様ああああああ!?」」」」

うん。こうなると思った。

買い物で俺と姉さん、そしてグランシアの装備を整えたため一応トルンチャに踏まれたぐらいで服はボロボロにならないが...

クエストすら始まってないのにこんなで大討伐作戦無事に終えられるのか…

不安だ...

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