再び屋敷の中
シグマ達が屋敷内に入った時にはもう遅く、無数の屍が部屋に散乱していた。
「やっぱり遅かったか……」
ま、成り行きでね、と言わんばかりにホーリーは肩をすくめてから、助けに来たはずの二人を睨みつける。
「それで、凶暴な鬼女って言ったのは誰?」
二人は驚いたように顔を見合わせ、ふるふると首を振った後、隅の髭面を指差す。
ホーリーが目をやると髭面と少年が互いに指を差し合っていた。やれやれ、と頭を振る。
「ちょ、ちょっと! なんなのよあんた達は! こんな事してただで済むと……」
髭面がヒートナックル姫の顔面にケーキをぶつけて黙らせた。
「やっぱ最初ので行こう。二回目は同じ事してもつまらないからな。どうしても遊びが入っちまう」
「そうですね。なんか暴走ってのが、ちょっと分かった気がしますよ」
「ところでお前さん、貯蔵部屋から傭兵が侵入してくる時、リックスの鼻が効かなかったのは乾酪、チーズの匂いのせいだって気付いたか?」
「いえ、気づきませんでした。なるほど、そうだったんですね」
と話しながら部屋を出ていく二人の姿を、石膏像のような顔になった姫が茫然と見送った。
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