第11話

高校の教室の窓から夕日が射しこむ。

Rは西日が射しこむのを教室の窓から見ていた。

赤と白の混じった光。

教室の机も椅子も奇妙なくらい変な色だが、このクラスにいる全員が今そんなことを意識しているわけではない。

Rは茫然と教室を眺めているがめいめいが何を考えているかなんて検討もつかないのだ。

おおよそIとJというクラスの中のいけてるやつらがRのことを意識しているような気がしているが、彼らが何を考えているのか検討がつかない。

社会がどう回っているのか教室の机で考えていてもおおよそニュースか新聞か本で知った知識しかなく、僕は小説を趣味で書いているがおおよそ何が深いのか検討がつかない。

Rはスマートフォンで何か悪いことをつぶやいたような気がして、それが政府に見つかって処罰されないか不安に思う夢をさっきの授業中に見た。

おおよそ高校の授業で学ぶことなんて皆目検討がつかないのだ。

そして何がまずいかというと世間の高校生が普段何を話しているのかすら検討がつかないし知らない。

自分が話すことと言えば「将来何をするか?」ということを相手に話し、また相手が「将来何をするか?」ということを聞き出すことしかしていない。

それ以前にはいったい何を話してきたのかRはまったく覚えていない。

太陽が沈もうとしている。夕日と雲と大気のグラデーションが鮮やかに広がっているのをRは見た。

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