第130話 後悔 7


「瀬口?」


「ああ」


「こんな時間に悪い。でも緊急だったから」


電話の向こうの声は息切れしていた。吹き込まれる空気音の大きさに、電話が激しく音割れする。

恐らく走りながら電話を寄越しているのだろう。カツカツと、かすかに反響した靴音が聞こえた。


「どうした? 何があったんだ?」


瀬口は思わず立ち上がりながら尋ねる。


「お前がこの前言ってた彼だよ!見つかったんだ。偶然墓参りに来てた高校生と外国人が見つけたんだけど」


何だか奇妙な組み合わせだ。それに何だか思い出した顔があった。


「救急連絡受けてさ、うちに搬送されて」


「彼は? 無事なのか?」


「その人はな。問題はもう一人の方で」


「もう一人?誰だそれは」


「いやまだ身元がわからないんだけど」


電話の向こうで、緊迫した声の女性が叫んでいる。何らかの指示が行き交っている様子だった。


「さっき話した通報した二人組の知り合いみたいなんだよその学生さんが。『ナントカせいじ』くんだって言ってたな。とにかく連絡したからな」


プツリっと文字通りの音を立て、電話は切れた。


「せいじ? まさかあの『星弐』か?」


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