第111話 市東 桂壱 6
「嫌だ……
「市東……」
多部の声は吐く息の量が多くて不自然に震えていた。
間近で僕を見下ろす目は血走っている。
「や!嫌だ、誰かっ!」
手足を無茶苦茶に振り回していた。
それなのにビクともしない。
「それで抵抗してるのか? 市東は可愛いなぁ」
先生のそこが熱く硬く、しこっていくのがわかる。
直に触れる身体が伝えてくる。
喉に張り付く声を必死に押し出そうとした瞬間、片手で素早く両手首をまとめ上げられた。
頭の上で床に縫い止められる。
多部は空いた右手で絵の具用の水取り雑巾を僕の口にねじ込んできた。
「人に見られたらお前も困るだろ? だから静かにしていような」
僕の左首に多部が顔を埋める。
口付けを落としながら慣れた手つきで僕のジャージのズボンを下着ごと引きずり下ろした。
下半身が外気に晒されたのが、肌の感覚でわかった。
「ふっう…うう」
「可愛い……上も見たい」
撫であげる様な手つきで、運動着のシャツを首もとまで捲り上げられる。
身体中が異様なほど寒く感じる恐怖に目をつぶった僕は、次の瞬間、あらぬ場所にざらつく熱い何かを感じた。
「ちゅっ…くちゅ」
水音がして目を開けると、先生が僕の乳首を下から舐め上げ吸い付いていた。
ただ気持ちが悪く、恐怖以外の何も感じなかった。
「ここはまだ感じないか……」
先生の手は僕の下にのびた。
まだ兆しの無いそこを見て、まるで僕を非難するみたいに激しくしごきはじめる。
「っ、ふっ、ふぅ」
敏感なそこは大人の男の節くれだった指の凹凸の感触を余すところ無く拾ってしまう。
渇いた肌同士が擦れ合う摩擦音には、直ぐに水音が混じった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます