第100話 顔 2
***
萌の言った通り、2日後には一同の真ん中に数日前に京平が描いた似顔絵と並んで、瀬口が新しく手に入れた写真が置かれることとなった。
その写真の中で、瑞々しい若さを放つ美しい少年が笑っている。
映る本人の知らぬところで切り取られた一瞬にしては、あまりに出来のいい、隙のない、完成された写真だった。
「こいつだ。俺が夢で見た顔と同じ顔だ」
萌に賛同するように京平も頷く。
「似顔絵とも同じ顔だな。この絵の子が大きくなったら多分、この顔になる」
恵一にも異論はなかった。それほどに「本人」なのだ。
美しい人間と言うのは幼いうちから既に顔かたちが完成しているようだ。
少年は運動着に身を包む四人の友達の真ん中で、たすきを斜めに掛けていた。
瀬口が言うには数年前の体育祭の写真らしい。
五人の少年達は一様に見目が良かったが、その中でも真ん中の彼の存在は際立って見えた。
写真を通してさえ、見る人の目を惹く。
「
「実の?」
京平が訝しげな顔で瀬口に更なる説明を求める。
まず名字が違うし、清水の胸の校章は東京の進学校の名前が入っていた。
つまり、通学していた高校も互いに違うわけだ。
ここまでならまあ、無くはない話だが、兄弟と言うには二人の顔立ちはあまりに違い過ぎた。
「両親が離婚されてるんだ。弟の方が父親に、兄の方が母親に引き取られている。姓が違うのはそのせいだ。
「親父、こいつ今どこに居んの? 今もまだ高校生なのか?」
「いや、大学生だ。八月末から休学しているけどな。ここからが問題なんだが……」
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