第87話 探せ 5
「貸して!」
リョウマが京平の手から自分のスマホを引ったくった。さっと文面に目を走らせて、新しくメッセージをつくりはじめる。
「顔!『か、お、わ、か、る?写真、み、たい!』」
送信にかかった時間はわずか数秒だ。
そして、相手の返信も早かった。
「来た!…『ちょい待ち。今兄貴に頼んでみる』。だって!」
「ありがとう。萌、どう思う?」
萌はさっき、「けいいち」は自分と同い年くらいだと言っていた。
だとすると、15歳前後。
当時幾つだったかにもよるが年齢は近いはずだ。
2年前に亡くなった、自分と同じ名前のけいいち君…。
-どうして自殺なんてしたんだろう。
「飛び降り自殺…か。死んだ岡山もマンションから飛び降りてたな」
萌のつぶやきに京平が答える。
「ああ。……萌、聞いてもいいか?」
「うん」
「昨日、俺らに岡山の写真はないのかって聞いたよな?ってことは、その時には岡山のことを夢で見て知ってたってことだよな」
「ああ」
「で、その夢に『けいいち』も出てきたんだよな?」
恵一が京平を賢いなと思うのはこういうところだ。
京平には恵一の声が聞こえない。
萌もこまめに通訳してくれるものの、全てではない。
そんな暇はないからだ。
加えて、萌はもともと口数が多くないので本人が重要で無いと考えた箇所はばっさりカットされる。
(それなのによく、文脈から読み取れるな…)
萌は、京平の伝えたいことは何だろうかと考える顔だった。
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