第29話 なんか変なフェロモン 5
「うちの叔父、この見た目だから色んな人の興味引くみたいでさ」
「だろうね」
リョウマは当然だろうなと言う顔であっさりと答えた。
「で、まぁ、…言いづれーんだけど、それって女性だけじゃねーんだわ」
「ん?男も寄ってくるってこと?」
「そう。むしろ男が寄ってくるって言った方が正しいかも」
数的には圧倒的に。
萌の母なんかは、「けーちゃんは男の人を誘う『何か変なフェロモン』を出してる」と昔から断言しているほどだ。
「まぁ、この顔じゃあな。しょうがねぇよ」
「納得だわ」と続けたリョウマの様子を見ると、京平に言われた通りに写真を見せて良かったと思った。
なかなか信じられる話ではないから。
「本人、男が好きってわけじゃねぇんだよ。ただ、それなのに、ありえない数が寄ってくるって言うのが問題でさ、全く相手にされなかったり、相手にされない奴を見て自分も言いよる勇気が湧かずにうじうじ悩んだりした挙句、強行手段に出る奴が定期的に出るんだよ。…それがまぁ、『いつもの』ことの内容なんだけど」
「おぉ…マジか。それは予想外だわ」
そうだろうなと萌も思う。
恵一はさっぱりとした清純な雰囲気があるからモテるのは納得でも、そういったドロドロとした色恋には無関係そうに見える。
「え、じゃあさ、聞いてもいい?答え辛かったら本当、答えなくていいんだけど」
「大丈夫。何?」
元より事情を話した以上、全てを包み隠さず話すつもりだった。
昨日、恵一もそうするべきだと許してくれた。
普段の萌なら、恵一のプライバシーに大きく関わる話を他人になど絶対に話さないが、信頼した二人だからこそ、こうやって話せる。
「何でも聞いて」と促したのだが、リョウマは尚も聞き辛そうにしばらく逡巡したあとやっと口を開いた。
「萌がいつも視えるのってさ、叔父さんがそう言う奴らに…何つーか、その…傷つけられる未来ってことになるのか?」
そう聞くリョウマの顔は真剣で、萌のことを心から心配しているように見えた。
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