エピローグ
父
この本に登場する父の事は極悪非道な行動、言動の部分しか書き込めていません。
でもあの人にも家族愛に飢えた子供時代があり、戦争の負の遺産を抱えるがごとく、人に裏切られ、家族にも裏切られた時代を経て自己愛性人格障害から完全に狂って行ったと思われる悲しい過去があります。そこに私が苦しみながら自分の思いの意味づけを変えていった経緯までを書くと、この本の趣旨から外れてしまう為、今回、深くは書きませんでした。
その後の父は予定通り小平の特養にロングステイ扱いで入所したと聞きました。
暫く経って施設長に電話して言われたのは、「このままこの施設で特養扱いになるとは思わないでください。」でした。。
どういうことか?聞くと、最初からそう言った約束は無かったというのです。
「いづれここを出ていただいて、あちこち回る事になるだろう。」と言われました。
私は「そうですか。。例えば老健なんかを転々とするということでしょうか?」と聞くと、「そういう事もある。」とおっしゃった。「仕方ないですね。。お任せします。」。。。本当に{ババぬき}だったのです。。
もし、私が保護者になっていたら私が老健等をを探さねばならなかった。。でも現在、探さねばならないのは施設長。。そして保護者の居ない老人を受け付ける次の施設がババを引く事になる。。今回移動させられたとしてもいづれどこかに落ち着くでしょう。。もしかしたら、期間延長できなくなり、小平でそのまま特養扱いになるのかもしれない。
施設長には「私も最初は判を押そうと思いました。でも、あまりに話が錯綜しましたので押さない事に決めました。。父と私の事情はご存知かと思いますが、どうか、そこをお汲み取りいただいて、父の事をよろしくお願いいたします。」そのように言うと、「お父様の為にも、もう少し元気な方が居る施設の方が良いかと思う。。」とおっしゃった。「お任せいたします。」と答えた。
後日、父の様子が写る写真を見ました。。
そこに写る父はもう芸能人とは言い難く、ただの老人。。それでも楽しそうにしているそぶりも感じました。
他人からの性的被害者に遠巻きに言われたことがある。「そんな加害者はさっさと忘れなはれ!」そして親を捨てきれず、グジグジしてるのは大人になり切れていないのだそうです。
他人からの被害だったら憎んだだけで会わなければ、手放しやすいのでしょう。私にも忘れて前向きに生きていた時期がありました。しかし、親だからそうはいかなかったし、忘れようとしても芸能人だからテレビに嫌という程出てくるのです。何度も憎しみの感情を繰り返すうちに気づいていく。。遺伝子を貰っている自分の半分をいじめるのはやめようと。。忘れるというのは記憶から消す事ではなく、血の滲むようなプロセスを経た上で、怨憎会苦を乗り越える事だったのです。
現在の父は虐待を恐れておそらくは大人しくしているのでしょう。。あの人には「金」と言う武器も体力も、もう無くなってしまったのだから。。。
虐待。。。。
もし父に虐待をしても良いという人間が居るとしたら。きっと私なのだと思う。。
もし、私が父を殴ったとして。。私自身が私を許せても、私は他人に父を殴ってほしくは無い。
あの人の心の闇は相当深い。。もしあの人に虐待なんかしたら、きっと嫌な因縁を貰い受けますよ。。とここに書いておきたい。。
そして私も介護の仕事を続けていって、絶対に虐待をしないという保証はどこにも無い。
自分にはそういった芽があるのだと自覚して、危機感を常に心に刻みながら仕事を続けていきたいと思っている。そして、私が父や母にに出来なかった事を埋め合わせるように人に尽くせば、きっと、父も良い介護者に巡り会えるのだと信じたい。
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