入院当日と手術まで

三月六日愈々入院です。もう四の五の考えず先生に託すしかありません。

手続きを済ませ、病室に居ると、血液検査だそうで血を抜かれ、目薬を日に何回か刺さねばならないようでそのスケジュールと薬を置いて行かれました。

夕方外来が終わる頃診察があり、まず先生が驚いておられて、どうも思ったより私の眼球内の血液成分が代謝吸収されているようでした。

{よく泣いたから、流れたのかしら?}などと思っていると、

「少し見えている部分だけでもレーザーかけましょう。」という事になり、すでに看護婦さんも居ない外来の診察室で、先生ひとりが準備をし、エコー検査やらレーザー治療に必要な準備をしてくださり、目に麻酔の目薬をさされて、いざ、お互い椅子に座り、顕微鏡のような機器を挟んで先生と{睨めっこ}のような治療の開始です。。

非常に痛かった!最初はピリピリする程度でしたが、徐々に目の奥の方でコムラガエリが起きて目玉がたこ焼きじゃあるまいし、ひっくり返るのではないか?といった痛さです。。でも、「痛い。」と言ってはいけないような気がした。きっと母はこのレーザー治療に繋がりたかった筈です。あの頃レーザーがあれば、あんな脳外科手術などしなくて済んだのですから。。

痛いと言いそうになって我慢すると、「オオオォ~」とか「うっ!」とか声が出てしまいます。そうこうするうちに「来た来た来た。。」などと言ってしまうと。。先生が「実況中継しなくていいです。」と一言。

では、痛いのを堪える時って?と頭をかすめたのが、{そうだ。少し口を開けて息を吐けば我慢できる!}で、少し息を吐いて堪えていると、「北尾さん!口。。半開きです。」と先生。。

治療台にはにぎり棒のようなものがあって、それを握る手には汗びっしょりでそれでも我慢していると、「北尾さん。痛いですか?」と先生。。「いいえ。大丈夫です。」と私のやせ我慢。。「北尾さん。体よじれてますよ。」と先生。。私はにぎり棒を握ったまま。肩から上は正面むいているのに駒のついた椅子に座っているお尻は左の方へグビ~ンとずれていて変な格好になっているのを先生が直してくれました。。

先生は何千発?否、何万発?だか?とにかく打ち込んだ事と、完全じゃないけれど、見えてるところだけ見えているうちに打ち込んだとおっしゃっていました。これが、実は医療保険的には手術一回と換算され、翌日の手術と入院中に二回手術を受けた計算になり、後に思わずほっこりするような給付金を受けることとなりました。

翌日は朝から目薬が一個増えて時間厳守でお薬をささなければなりません。なので時間になると看護婦さんがやってきて、さしてくれました。夕方、愈々前開きの手術着に着替えて車椅子に乗せられ手術室に向かった。

自動ドアが開くと、まるで宇宙ステーションのような空間に様々ドアがあって何室かに手術室が分かれているようで、その一室に入るとすでに先生が準備されていました。助手の看護婦さんは二人程度、簡単な手術のようです。BGMはジブリの曲だとか?麻酔は局部麻酔。。しかも目薬麻酔。。効いてるんだか効いてないんだか?

瞬きさせないように丸い柵を目の周りに挟まれでただ眩しいの一言。。

「始めます。。」と先生。「よろしくお願いします。」と私。。

痛くないのですが、目玉の中でグルグル。。ゴボゴボしているのがキモチワルかった。そして何度瞬きしても瞬きにならず、ただただ、眩しく。。。

そんな時、看護婦さんが私の手を握ってくれて、私は情けない事にやっぱり怖くて看護婦さんの手を握り返しました。。

{手の治癒力}と言うセミナーを思い出す。。

手の力はあるのだと認識するほど、看護婦さんの手は私の不安を解消してくれていたと思う。。

アッ!と言う間に手術は終わり、右目をガーゼで覆われて終了。ものの十五分程度だったと思います。そして車いすで病室に戻りました。

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