第5話 幕間
その日、俺は大変なピンチに陥っていた。
全ての学生にとっての鬼門・・・そう。
テ ス ト
自慢ではないが俺の成績なんて普通意外の何物でもない。
ただでさえも若菜関係でろくに勉強なんてしていない。
完全に赤点コースである。
しかし俺には救済の女神がいた。
神様仏様若菜様であるよなあ。
しかし女神は甘くなかった・・・。
「なんで?なんでそんな回答になるの?やる気ある?」
「あるよ!仕方ねえじゃん分かんねえんだから!!」
「そんな訳あるかッ!私が分かるのにカケルが分からないとか有り得ない!」
「分かんねえんだって!」
「私のカケルがこんな問題解けないハズないんだよッ」
「・・・ええ・・・おう・・・頑張るわ」
チョロイって思うか?
君が好きなコに同じこと言われてみな?
第二第三の俺になるぜ?
若菜は可愛い。親切だし優しい。もちろん出来るのにやらないとかなら多分見捨てるんだろうけど。
そんな彼女が俺の隣にピタッとくっついて勉強を教えてくれている。
欲情しても仕方ないよね?
しかし吸血鬼って存在をナメてちゃいけない。
同じ環境で生きてる生き物・・・それは若菜も同じだった。
「ねえ・・・私、カケルのが欲しいなあ・・・」
やたら甘い声でそんな事を言ってきやがるのだ。
少しの血くらい大したことじゃないよな??
「んん・・・カケル、カケル・・・美味しいよお・・・」
もう味噌が蕩けてるよ俺も。
前にも言ったかもだけど、血を吸血鬼に吸われるって快感が凄い。
でも俺は耐えた。歯を食いしばって耐えた。
若菜が行為を終えるまで耐えた。多分この人生で一番の苦行だった。
「ふぁ・・・あ」
若菜が俺の首筋かその桜色の唇を離すと、若菜の舌と首筋には唾液が糸を引いていて・・・。
俺の理性は木っ端微塵になった。
でもハッキリ記憶に残っている。
俺の下で真っ赤になりながら胸の先端を固くして俺の舌の感触に喘ぐ若菜を。
俺の舌で、指で乱れる若菜を。
俺と一つになって破瓜の痛みに耐えながら俺の名前を呼ぶ若菜を。
あー・・・これはもう俺、若菜からは逃げられないですわー。
俺の暴走は日が変わるまで6時間以上も続いたようだ。
翌日は休みだったけど、俺は腰痛に悩まされた。
若菜は動き方がかなり不自然だった。
・・・顔が緩んでいたのが俺にとっては救いだったろうか。
そんな感じで俺と若菜はオトナになったのだが・・・。
それからと言うもの、血を吸う度に若菜が俺を求めるようになった。
最も、俺も若菜に血を吸われるたびに彼女を求めてしまっているのだが。
快感なのだ。若菜の肢体に舌を、指を這わせるのが。
若菜も同じく、俺の身体に触れるのも舐めるのも咥えるのも快感なのだとか。
キスですら気持ちいいのだから仕方ない。
一つになっている時なんて何も考えられないくらいの快感が押し寄せてくる。
・・・もう痛みは無いんだろうかと心配になるけど大丈夫なんだよな?
無理はさせたくない。
こんな事を言っていると、身体の関係になったくらいで彼氏面かーとか言われそうだが。
俺はもう彼氏か、或いはソレ以上だと思って接しているので問題はない。
あるとしたら、若菜がそう思っていない時だけだな。
恥ずかしくて死ねる。
・・・そう言えば、若菜は最近例の棺桶で眠らない。
いつも俺の隣で寝ている。俺の腕の中で。
幸せすぎるなコレ。
誰になんと言われても構わないのだ。
そんなモノは俺達の人生には大した影響をもたらさないし。
イカンな。
若菜に毒されすぎて脳みそがピンク色の思考に染まっている気がする。
若菜はまだ寝ている。
俺の腕を枕にして。
俺は、その寝顔を見つめながら若菜の唇を塞いだ。
・・・若菜。俺はお前を離さんからな?
逃げたら地獄の果まで追いかけて説教してやる。
血の代償は若菜の一生意外には受け付けないのだ。
・・・重いかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます